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仮面ライダーらしく ◆Qpd0JbP8YI キングと天道を乗せたカブトエクステンダーは温泉を目指し、川沿いの道を疾走していた。 碌に整備もされていない道だが、カブトエクステンダーの能力のおかげだろうか、 その悪路ともいうべき道のりをキングでも難なく進めていた。 このままならすぐに温泉へと着くだろう。 キングがそう思った矢先、道の向こうから三人の姿がキングの目に入ってきた。 ズサッと驚くほどの制動距離でもってバイクを三人の前で停止させ、 キングは一人一人の顔を検分しようとする。 だが、そんな事をする前にキングの前に歩み寄る人物が一人。 「ちょうどいい。お前、俺と戦え」 カテゴリーキングに属するアンデッドを前の前にしても、 何ら臆することなく獰猛な瞳を向ける浅倉威であった。 「戦う? ちょっと待ってよ。僕はこのゲームになんか乗っていないよ」 「そんな事を関係ない。お前は強いだろ? だったら俺と戦え」 ただの人間の不遜な態度に流石のキングも幾分かの反感を覚えないわけではないが、 生憎と今は背中に大切な玩具を背負っている。 それをこんな事で壊してしまっては堪ったものではない。 それに態々デスゲームとやらを面白くしてくれそうな人間を、 自分の手で殺してしまうのも憚られる。 「いやいや、僕と戦ったってつまらないよ。それに、ほら」 そう言い、キングは背中で気を失っている天道を見せる。 「僕はこれからこの人間を手当てしなくちゃだからさ」 「そいつは……!」 「おや、知り合い?」 「俺の獲物だ。お前がそいつをやったのか?」 「まさか! 僕はそんなことはしないよ。最初に会った時から、こいつはこんなんだったよ」 「そうか……じゃあ、俺と戦え」 「いや、待ってよ。何でそんな話になるのさ。全然話が繋がってないよ」 「関係ない」 にべもない一言。 浅倉は一歩、また一歩とヴィンデルシャフトを構えながら、キングにへと歩み寄っていった。 とは言っても、相手はアンデッド、キング。 そんな事に全く動じもせずに、目の前の男を吟味しつつ、相手がどんな人間か―― いや、『CROSS-NANOHA』を持つキングは相手が誰であるかを考え始めた。 「そう言えばさ、君は天道のことを獲物って言ってたよね? ひょっとして、前からこいつのことを知ってたの?」 「さあな」 ふ~ん、と喉を鳴らしながら、キングは自らの記憶を探る。 『CROSS-NANOHA』における仮面ライダーの部分は 他の物よりはよく目を通したとはいえ、まだ全てを覚えきったわけでない。 でも、そんな斜め読みでも天道と同様に印象に残った人物が一人いた。 そしてその確認の為にも、キングはあるキーワードを歩み寄る男に告げてみた。 「そういえば、この天道って人、最強の仮面ライダーらしいんだよね」 「なに!?」 その動物のように野生じみた瞳に一瞬、驚愕の色が写ったのをキングは見逃さなかった。 「ねえ、君の名前を聞いてもいいかな?」 「……浅倉だ」 「そっか」 その答えを聞いて、キングは傍から見ても分かるような笑みを隠さず浮かべた。 「じゃあ、やっぱり君も仮面ライダーなんだね?」 その質問を聞いて、浅倉もキングに負けず劣らずの凄絶な笑みを浮かべた。 「なるほど。それなら話は早い。お前も仮面ライダーなら……」 顔に笑みを浮かべたまま、浅倉はヴィンデルシャフトをキングに向けて、振りかぶった。 「俺と戦え!」 狂気と歓喜を孕んだ一撃が、キングの脳天めがけて、勢いを乗せる。 しかし、ヴィンデルシャフトがキングにぶつかると思った瞬間、空中に盾が出現。 再び驚愕の色をその瞳に写し、浅倉はヴィンデルシャフトと共に後方に弾き飛ばされた。 「変な勘違いはしないでよ。僕は仮面ライダーなんかじゃないよ」 そんな言葉を聞いても、浅倉は笑みを絶やさず、再びヴィンデルシャフト構えて、立ち上がった。 そして今度こそは一撃をキングに見舞ってやろうと、踏み込んだところで キングは突然とバッグからベルトを取り出し、浅倉の前に掲げた。 「何のつもりだ!?」 キングの不可解な行動に浅倉も思わず足を止め、質問をしてしまう。 「仮面ライダーのベルト。本来はこの天道のらしいんだけど、こいつはこんなんだろう? こんなんじゃベルトも役に立てなくて可哀想だから、これは君に上げるよ♪」 放り投げられたベルトを浅倉は思わず受け取ってしまう。 「……お前……何がしたい?」 「いやだなー。そんなにも睨まないでよ。さっきも言ったでしょ? そのベルトを役に立てるためさ。 仮面ライダーには、やっぱり仮面ライダーらしく振舞ってもらいたいからね♪」 「仮面ライダーらしくか……」 「そうそう♪」 キングの「仮面ライダーらしく」という言葉に浅倉は愉悦を顔一杯に広げた。 そしてその様子を見て、キングも楽しげに頷く。 目の前の仮面ライダーを知る浅倉という名の人間。 キングの記憶が確かなら、連続殺人犯。 そして戦うためだけに仮面ライダーとなった狂人。 そんな人間の手に自分の大切なベルトが渡ったと知ったら、天道の心はどうなるか。 自分のベルトによって多くの人間が命を失うと知ったら、天道の仮面ライダーとしての誇りはどうなるか。 (な~にが天の道を往き、総てを司るだ? お前のぜ~んぶを滅茶苦茶にしてやるよ) キングは背中で眠る天道を我が子のように愛しげに見つめた。 「そうそう、そんなに戦いたいなら、僕より強い奴が向こうにいるよ。 いきなり鎌を持って僕に襲い掛かってきてね~。魔法も使ってくるしで、逃げるだけで手一杯だったよ」 ベルトをつけた浅倉が自分に歩み寄ろうとするのを目の端に留めたキングは 彼が自分に向かってこないように、美味そうな餌を彼に放った。 とはいえ、それが幾ら極上な料理であろうと、 目の前にある餌を見逃すほど浅倉の飢えは生易しいものではない。 浅倉はベルトに手を宛がい、変身の準備へと取り掛かった。 「それにさ、僕は天道を手当てしなきゃなんだよ。浅倉もさ、この天道とちゃんと戦ってみたいでしょ? こいつ、このままだと、死んじゃうよ?」 そのキングの言葉に浅倉の動きは止まる。 天道は浅倉にとっても是非とも戦ってみたい相手だ。 絶えず鬱屈するイライラを拭ってくれるような予感を 浅倉は天道と会った時に僅かにしろ抱いたのだから。 「どこだ!? そいつはどこにいる!?」 そして野獣はキングの放り投げた餌に齧り付くことになった。 「そんな慌てないでよ。向こうだよ、向こう。まだそんなに時間も経ってないし、まだあそこにいるんじゃないかな。 戦いたいんだったら、急いだほうがいいよ。あ~、あとゲームにも乗っているみたいだから、気をつけてね♪」 キングの言葉を聞き届けると、浅倉は慣れぬ武器、ヴィンデルシャフトをゴミのように放り投げ、 それからジェットエッジと自分が立つ悪路とも言うべき地面を交互に見比べ、 やがて忌々しそうにそのローラーブレードも捨てた。 今、彼の手にはライダーベルトがある。 その喜びで顔を狂気に彩らせた浅倉は、キングの指差した方向へと歩みを進めていった そしてそんな勝手な浅倉と気絶している天道を、おろおろと交互に見比べる少女が一人。 「あの、その人を助けてくれるんですか?」 やがて意を決したかのように少女、ヴィヴィオはキングに訊ねた。 「……その前に君の名前は何ていうの?」 「えっと、私の名前はヴィヴィオです」 ヴィヴィオと名乗る少女の名前と容姿を頭の中に刻み込み、キングは笑みと共に質問に答えた。 「ふ~ん、ヴィヴィオね。僕の名前はキング。え~と、それで何だっけ? あ~そうそう、うん、勿論、助けるつもりだよ」 「そうですか」 キングの答えにヴィヴィオは笑顔を広げる。 「えーと、それじゃあ、その人の事をよろしくお願いします」 ペコリと頭を下げ、後顧の憂いを無くしたヴィヴィオは浅倉の捨てた「ゴミ」を拾いながら 急いで彼の後を追いかけていった。 その影二つを優しく見送りながら、キングはバイクのエンジンを点け、 再び走り出そうとするが、不意にそれを制止する声が耳に入った。 「待ってください」 キングが目を向けてみると、オレンジ色の鮮やかな髪の色をした女性、シャーリーがいた。 「なに?」 「ゼロのことを、その人のことを、どうするつもりですか?」 「どうするって……そりゃあ、助けるさ。こんな様じゃ、可哀想だろう?」 「その人は、ゼロは、たくさんの人を殺したテロリストなんですよ! それでも助けるというんですか!?」 「そうなの?」 「そうです!」 天道はゼロでありテロリストであるという命題を解くのには、キングの情報が不足していた。 ゼロという単語は確かに目にした記憶はあったが、それが何だったかいまいち思い出せない。 それに天道の部分もまだ完璧に網羅しているわけではない。 もしかしたら、彼女の言うことは本当なのかもしれない。 しかし、仮面ライダーとゼロは別個の話だったような気がしないでもないし やはり、彼女の言うことは狂言、もしくは単なる思い込みなのだろう。 といっても、だからキングが何をするという話でもない。 彼女の言葉の調子からゼロという者に恨みを抱いているのが見受けられる。 それも相手が死んでも構わないくらいに。 彼女を壊すのは簡単だ。 天道を殺させた後に、彼はゼロではなかった証明してやればいい。 そうすれば、無関係な人を殺したという罪悪感に勝手に押しつぶされて、愉快な姿を曝け出してくれるだろう。 だけど、それだとキングが困る。 何故なら、天道はキングにとって、自分が壊すべき大切な玩具なのだから。 「ん~、まあ、このままだと死んじゃうかもしれないしね~。それだと、つまんないから助けるよ」 つまんないから。 そんな予想だにしてなかった理由にシャーリーは思わず口を噤んでしまう。 「で、もう行っていい? 早くしないと、こいつ死んじゃいそうだからさ」 「え? えーと、これからどこに行くつもりなんですか?」 「ん~、温泉。日本人といったら、やっぱり温泉でしょ?」 「そう……ですか。それはいい考えだと思います」 「でしょ? 最後に君の名前を聞いてもいいかな?」 「……シャーリーです。シャーリー・フェネット」 「シャーリーね。覚えたよ」 最後に子供のような無邪気な笑顔を残し、キングはバイクで走り去っていった。 そしてそれを見送るシャーリーはキングの「つまんないから」という言葉を思い出し、一人頷いた。 確かにキングの言うとおり、ゼロがこのまま簡単に死んでいってはつまらない。 彼はおおよそ悪とはかけ離れた民間人を多数殺したテロリストだ。 その大罪を購う為にも、ゼロは精一杯苦しまなきゃならない。 自分の手で殺していった人間の命の重さを知るためにも、これでもかというほどに。 それを今、ここで簡単に殺してしまっては、死んでいった彼らの痛みなど伝わらない。 それでは父の、ゼロによって死んでいった人々の無念が晴らされることはないだろう。 だから、彼女は天道を殺さなかった。 (ゼロ、私はあなたを決して許さない。だから精一杯苦しんで) ゼロの容態、そして彼の向かった温泉には治療に使えそうなものなど 何一つ残っていなかったのを思い出し、 彼女はほんの少しの罪悪感を覚えながらも、ほんの少し笑った。 【1日目 朝】 【現在地 C-7】 【天道総司@魔法少女リリカルなのは マスカレード】 【状態】右脇腹負傷(身体を動かすことはできるレベル)、気絶中 【装備】爆砕牙@魔法妖怪リリカル殺生丸 【道具】支給品一式、ゼロの仮面@コードギアス 反目のスバル 【思考】 基本:出来る限り全ての命を救い、帰還する。 0.気絶中 1.天の道を往く者として、ゲームに反発する参加者達の未来を切り拓く。 2.カブトゼクターとハイパーゼクターを取り戻してみせる。 3.俺が望みさえすれば、運命は絶えず俺に味方する。 4.感謝するぞ、加賀美。 【備考】 ※参戦時期はACT.10冒頭。クロックアップでフェイト達の前から立ち去った直後。 ※なのは、フェイト、はやて、クロノは一応信用、矢車は保留、浅倉は警戒しています。 ※身体がいつものように動かない事を知りました。 【キング@魔法少女リリカルなのはマスカレード】 【状態】変身による疲労(中)、一時間変身不可(コーカサスビートルアンデッド)、非常に上機嫌 【装備】カブトエクステンダー@魔法少女リリカルなのは マスカレード、ソリッドシールド@魔法少女リリカルなのは マスカレード 【道具】キングの携帯電話@魔法少女リリカルなのは マスカレード 【思考】 基本 この戦いを全て滅茶苦茶にする 1.温泉に向かう 2.天道で遊ぶ 3.『CROSS-NANOHA』でヴィヴィオ、ゼロ、シャーリーを調べる 4.浅倉とキャロに期待 5.はやてとの合流は後ででも良いかな 6.はやてとヴィータの決着が着いたら、残ったほうに真実を伝えて、その反応を楽しむ 7.とにかく面白いことを探す【備考】 ※制限が掛けられている事に気がつきました ※ゴジラにも少し興味を持っています ※携帯電話は没収漏れです。写メ・ムービー以外の全ての機能は停止しています。 ※携帯には相川始がカリスに変身する瞬間の動画等が保存されています。 ※キングの携帯に外部から連絡出来るのは主催側のみです。 ※カブトの資格は持っていません ※キングの携帯のお気に入りフォルダに『CROSS-NANOHA』へのリンクが存在します。 【シャーリー・フェネット@コードギアス 反目のスバル】 【状態】健康、悲しみ 【装備】浴衣、クラールヴィント@魔法少女リリカルなのはStrikerS、ゼロの銃(10/10)@コードギアス 反目のスバル 【道具】支給品一式、デュエルアカデミア売店の鍵@リリカル遊戯王GX、ランダム支給品0~2(元シャーリー 0~1(一見して治療に使えそうなものはありません)、元ヴィヴィオ0~1) 【思考】 基本:ルルーシュ達と一緒に帰りたい。 1.ヴィヴィオの為にフェイトを探す 2.もう1人いるなのはを探し、ヴィヴィオのママかどうかを確かめる 3.浅倉と行動を共にしヴィヴィオを守る 4.ルルやスバルや六課の人を捜す 5.この人(浅倉)って……実は良い人? 6.デュエルアカデミアって……決闘の学校? 【備考】 ※天道のことをゼロだと思っています ※ゼロを追いかける為に、一時的に二人の仲間になることにしました ※六課がブリタニア軍の特殊部隊で、スバルはその一員だと考えています ※ザフィーラを大型犬だと思っています ※プレシアはブリタニアの偉い人で、この殺し合いを開いたのは六課や日本人及びその関係者を抹殺する為だと考えています ※ヴィヴィオの境遇を自分と重ねています ※2つあるなのは、フェイト、はやての名前から同姓同名の別人がいると思っており、放送で呼ばれたなのはが別人の可能性があると考えています ※デュエルアカデミアを物騒な所だと思っています ※ゼロは苦しんで死ぬべきだと思っています 【浅倉威@仮面ライダーリリカル龍騎】 【状態】右手に火傷 【装備】ライダーベルト(カブト)@魔法少女リリカルなのは マスカレード 【道具】支給品一式 【思考】 基本 戦いを楽しむ。戦える奴は全員獲物 1.鎌を持った奴(キャロ)と戦う 2.1の後は市街地にある施設に向かってみる 3.回復した天道、キングと戦う 4.更なる戦いの為、ヴィヴィオとシャーリーを利用する 5.この二人がウザい。鬱陶しい。 【備考】 ※自分から二人に危害を加えるつもりはありません ※二人の事は使えないと判断した時点でいつでも切り捨てるつもりです ※プレシアは殺し合いを監視しており、参加者の動向を暗に放送で伝えていると考えています ※ヴィンデルシャフトのカートリッジシステムには気付いていません ※カブトに変身できる資格があるかどうかは分かりません 【ヴィヴィオ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】 【状態】健康、深い悲しみ 【装備】ヴィヴィオのぬいぐるみ@魔法少女リリカルなのはStrikerS 【道具】支給品一式、ヴィンデルシャフト@魔法少女リリカルなのはStrikerS、ジェットエッジ@魔法少女リリカルなのはStrikerS 【思考】 基本 フェイトママや、六課の皆と一緒に脱出する 1.なのはママ…… 2.フェイトママを探す 3.浅倉とシャーリーに着いて行く 【備考】 ※浅倉の事は、襲い掛かって来た矢車から自分を救ってくれたヒーローだと思っています ※浅倉を信頼しており、矢車とエネルを危険視しています ※キングのことを天道を助けてくれるいい人だと思っています ※この場にもう1人なのはがいる事に気付いていません Back ボクらが叶える未来 仲間を信じていたい 時系列順で読む Next バイバイ Back ボクらが叶える未来 仲間を信じていたい 投下順で読む Next バイバイ Back Deathscythe キング Next 暇をもてあました神々の遊び Back Deathscythe 天道総司 Next 暇をもてあました神々の遊び Back 混濁の純血 この身は汚れても 浅倉威 Next 三人の印象 Back 混濁の純血 この身は汚れても ヴィヴィオ Next 三人の印象 Back 混濁の純血 この身は汚れても シャーリー・フェネット Next 三人の印象
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閉鎖された戦場――リニアレール車両内に、嵐が吹き荒れていた。 「うおおおおおおおぉっ!!」 青い髪の破壊神――スバルが雄叫びを上げながら敵陣の中心に飛び込み、車両を占領するガジェットの一体に掴み掛かった。 コード状の触手をしっかりと掴まえ、スバルは捕獲したガジェットをハンマーのように振り回し、手近な敵に容赦なく叩きつける。 咄嗟にAMFを展開するガジェットだが、高度な対魔法防御も原始的な物理攻撃には何の意味も無く、鈍器代わりに使用された仲間共々に破片を撒き散らしながら砕け散った。 「次っ!!」 獰猛な光を瞳に宿し、スバルは次なる獲物へと魔の手を伸ばす。 ローラーブーツを噴かし、背後から抱きつくように新たなガジェットを捕まえたスバルに、残りの敵が一斉に光線を放つ。 降り注ぐ魔力弾の集中砲火にスバルは不敵な笑みを浮かべ、捕獲したガジェットを盾のように前方へ突き出した。 迫り来る凶弾の雨を認識したガジェットは防御プログラムを作動、AMFを展開する。 味方の展開したAMFに阻まれ、ガジェット達の攻撃はスバルに届くことはない。 「わはははは! 無駄無駄無駄ぁっ!!」 敵の攻撃を敵の障壁で無効化しながら、スバルは勝ち誇ったように哄笑する。 あらゆる魔法を打ち消すガジェットのAMF、敵に使われれば確かに厄介極まりない「壁」だが……自分で使う側に回ってしまえば、これ程便利な「盾」は無い。 更にガジェット本体の強度やスバル自身の腕力も相まって、魔導師にとっての最悪の「敵」は、今やスバルにとっての最適な「武器」と化していた。 敵の集中砲火が止んだ瞬間、今度はスバルが攻勢に回った。 手元のガジェットを力任せに放り投げ、敵にぶつけて牽制する。 敵が怯んだ隙に距離を詰め、術式を纏わせた拳で全力で殴りつける。 「リボルバーキャノン!!」 咆哮と共に零距離から撃ち出された衝撃波が、ガジェット達を粉微塵に消し飛ばした。 「あたしを誰だと――へぶっ!?」 高らかに勝ち名乗りを上げかけるスバルの背中に、ガジェットの放った光線が容赦なく突き刺さった。 バリアジャケットのおかげで光線自体によるダメージは皆無であったが、着弾の衝撃スバルの身体は前のめりに倒れ込み、顔面を強かに床に打ちつけた。 「っつぅー……」 痛む鼻頭に涙目になりながらスバルは上体を起こし、決め台詞を邪魔した無粋な敵を憤怒の表情で睨みつける。 「お前ら……」 幽鬼のようにゆらりと立ち上がり、スバルは額に青筋を浮かべながら口を開いた。 右手首のタービンが獲物を追う獣のように獰猛に唸りを上げ、全身から溢れ出る魔力が竜巻のように渦を巻き、荒れ狂う嵐となって車両内を吹き荒れる。 ライトニング隊との合流というティアナの指示も、リニアレール奪還という自分達の任務そのものも、既にスバルの頭から消え失せていた。 今の自分のやるべきことは唯一つ、空気の読めない馬鹿共の抹殺――今のスバルの思考回路は、その一点に支配されていた。 「――全員、極刑!!」 スバルの怒号と共に空間が爆砕し、衝撃で車両天井が弾け飛ぶ。 この瞬間、戦場は処刑場へとその名を変えた。 リニアレール第五車両、戦闘続行中。 リニアレール車両内を、一陣の風が駆け抜ける。 ≪Sonic Move≫ 合成音声の無機質な呟きとほぼ同時に、車両中央に浮かぶガジェットが細切れに解体される。 ≪Sonic Move≫ 再び響く合成音声と共に、振り下ろされた鋼の塊が車両後方を飛ぶガジェットが叩き潰し、更に返す刃でもう一体、敵がAMFを展開する前に一瞬で斬り捨てる。 ≪Sonic Move≫ 三度紡がれる死刑宣告。 次の瞬間、今度は車両前方のガジェットを、赤い髪の死神――エリオの槍が貫いていた。 動きを止めたエリオをガジェット達が素早く取り囲み、一斉に光線を撃ち出した。 ≪Sonic Move≫ 迫り来る光線の集中砲火に、エリオのデバイスが四度目の呟きを発する。 次の瞬間、突如エリオの身体が霞のように掻き消えた。 標的を見失った光線は直進を続け、その先に浮かぶ仲間の身体に無慈悲に突き刺さる。 遅い、余りにも遅くて欠伸が出る……同士討ちして爆発するガジェット達を背中越しに一瞥し、エリオは軽やかな音を立てて床に着地した。 鋭く正確なガジェットの光線攻撃だが、キャロの加速補助を二重に受け、しかも高速機動魔法を発動した今の自分の敵ではない。 破片の散らばる床を蹴り、壁を、天井を、そしてまた床を……車両内を縦横無尽に駆け回り、エリオは踊るように生き残りのガジェット達を翻弄する。 ガジェットがエリオを捕捉し、内蔵武器を起動する――その一瞬の隙に敵の懐に飛び込み、光線を放たれる前にデバイスを突き立てる。 AMFを発動させるべく敵が動きを止めたその刹那、ガジェットの背後に回り込み槍を一閃させて斬り伏せる。 魔法を無効化するガジェットのAMFも、鋭いが遅い敵の攻撃も、使われる前に倒してしまえば気にする必要は無い。 圧倒的とも言えるエリオの猛攻を前に、生き残りのガジェット達は撤退を開始した。 卵のような身体を反転させ、脱兎の如く逃げ出すガジェット達だが、しかしその必死な行動を嘲笑うかのように……、 ≪Sonic Move≫ ――敵を遥かに凌駕する神速の動きで正面に回りこんだエリオが、槍を携え立ち塞がる。 更にエリオの隣にもう一人、桃色の髪の伏兵――キャロが姿を現した。 「錬鉄召喚、アルケミックチェーン!」 キャロの呪文発動と共に床面に魔方陣が展開され、その中心から出現した無数の鎖がガジェット達を絡め取る。 「フリード」 捕縛したガジェット達を油断なく見据え、キャロは傍らの相棒に呼びかけた。 主の命令に応えるように、フリードが口の中から火球を生み出す。 同時に隣のエリオも槍を構え、穂先に魔力を集束させる。 「ブラストレイ」 キャロの号令と共に炎の弾丸が、 「ルフトメッサー」 エリオの怒号と風の刃が、 「「――シュート!!」」 撃ち放たれた。 同時に撃ち出された炎と風の魔法は互いに干渉し、力を増幅させながら混ざり合い、最終的に巨大な火球となってガジェット達を飲み込んだ。 まるで赤い絨毯を引いたように車両中が火の海に包まれ、防火装置の作動した天井から人工的な雨が降り注ぐ。 スプリンクラーの水滴を全身に浴び、消えていく炎の海をどこか名残惜しそうに一瞥してから、エリオとキャロは互いの健闘を称え合うように笑いながらハイタッチを交わした。 リニアレール第十車両、制圧完了。 「あの馬鹿共が……」 各車両に設置された防犯カメラからリアルタイムで送られてくるスバル達の戦闘映像を横目に見遣り、ティアナは苛立ったように舌打ちした。 「馬鹿スバル! 遊んでないでとっとと先に進みなさい!! エリオにキャロ! 車両燃やしながらはしゃぐな!!」 調子に乗る同僚達を通信回線越しに怒鳴りつけ、ティアナは続いてロングアーチへと通信を繋ぐ。 「スターズF、五両目で戦闘中。ライトニングF、十両目を奪還」 自分は何をしているのだろう……列車の停止作業と並行して、いつの間にか現場管制の真似事をしている自分自身に呆れるように、ティアナは重い息を吐いた。 管制など訓練生時代に軽い講義受けただけで演習すらも行った経験は無く、そもそも複数の作業を両立出来る程の処理能力は自分には無い。 現に今自分は現場の状況報告と司令部からの指示伝達との中継に追われ、肝心の車両制御の方は中々進展していない。 本来どちらかに集中するべき――否、現状を鑑みればどちらに集中するべきかは明らかなのだが、どちらとも中途半端に進んでしまっているので切り捨てるに捨てられない。 結果どちらにも集中出来ないまま時間だけが浪費されていくという本末転倒な状況が続いているが、自分を変えようにもつまらない意地が邪魔をして中々一歩を踏み出せない。 大体このような作業はリイン曹長の仕事だろうに……出撃の際に隊舎に残った上司に八つ当たりするように恨みの矛先を向けながら、ティアナは黙々と己の仕事を続ける。 手元に展開したウィンドウ――緊急操作マニュアルを慎重に確認しながら、掲載された過程の一つ一つを丁寧に消化していく。 『ティア! 五両目のガジェットは全部潰したよ!!』 『ティアナさん、十両目の鎮火を確認したので次の車両に進みます』 スバルとエリオからの報告を受け、制御パネルを操作しながら該当する車両の防犯カメラの映像を呼び出す。 ……マニュアルを読み間違い、操作手順を一つ飛ばしてしまいエラー表示が出た。 「スバル、六両目のガジェットは五体。七両目の重要貨物室には敵はいないみたいだから、さっさと潰してとっととちび達と合流しなさい。 エリオにキャロ、九両目の敵は九体、ちょっと数が多いけど気合いと根性で乗り切るのよ」 操作をやり直しながらしながら現場のスバル達に通信を繋ぎ、激励の意味を込めて指示を出す。 ……パスワードを打ち間違い、エラーの壁にぶつかった。 「スターズF、五両目を奪還。ライトニングF、九両目に突入」 再度パスワードを入力し、ロングアーチにも状況を報告する。 ……指が誤って削除キーに触れ、これまでの苦労が白紙に戻った。 ティアナの中で、何かが切れた。 「だああああああああああああっ、もう! このポンコツ列車がああああああああっ!!」 髪の毛を両手でかき回しながら絶叫し、ティアナは八つ当たりするように操作パネルに拳を叩きつけた。 緊急操作マニュアルに羅列された二十以上の手順を再び最初からやり直し……自身の過失が原因とはいえ、これは流石に気が滅入る。 大体電車などどうせ走るか止まるか車内放送を流すか程度の機能しか存在しないというのに、その操作に何故ここまで煩雑な手順が必要となるのか。 犯罪防止のためか何かは知らないが、無駄なハイテクなど害悪以外の何物でもない。 やってられるか……据わった眼でマニュアルのウィンドウを睨みつけ、ティアナはデバイスを取り出した。 クロスミラージュの銃身が怯えたように一瞬震えるが、頭に血が上ったティアナが気付くことは無かった。 わざわざ正攻法で付き合ってやる義理など、考えてみれば無いではないか。 目には目を、ハイテクにはハイテクを――クロスミラージュを制御システムに介入させ、ガジェットと同じやり方で車両の制御を乗っ取ってしまえば万事解決。 インテリジェントデバイスに搭載されたAIは戦闘用、しかもクロスミラージュは最新型……ガジェットのような訳の解らないメカに出来て、自分の相棒に出来ない道理は無い。 デバイスの装甲をこじ開け、必要な配線を引き出す。 機械の扱いは簡易デバイスを製作する際に多少は勉強した、ハードウェアを繋げるだけならば自分でも簡単に出来る。 ソフトウェアの接続と掌握――言い換えればハッキングの作業自体は完全にクロスミラージュ頼みであるが、そこは相棒の性能を信じるしかない。 ≪M……master?≫ クロスミラージュが困惑したように声を上げるが、ティアナは無視して作業を続ける。 ガジェットの残骸から拝借したケーブルにデバイスを繋ぎ、制御機器に接続して準備完了。 「クロスミラージュ! ちょっとハッキングでメインコンピュータを乗っ取って、大至急列車を止めなさい!!」 まるでイソギンチャクのように無数のコードやケーブルに繋がれ、急造のハッキングツールと化した己のデバイスに、ティアナは高らかに命じた。 こいつはデバイスを一体何だと思っているのだろーか……所有者の破天荒な行動に些か呆れながらも、クロスミラージュは主の命令を忠実に実行する。 ――メインシステムにアクセス、プロテクトを突破 ――制御プログラムに介入、システムの掌握完了 リニアレールの制御奪取を完了させたクロスミラージュが停止シグナルを送信し、列車が急ブレーキをかけて減速する。 まるで地震でも起きたかのように車両が大きく揺れ、窓の外の景色が動きを止める。 ≪Order complete≫ 「ご苦労」 命令完遂を報告するデバイスに労いの言葉を短く口にし、ティアナは大きく安堵の息を吐いた。 さて……クロスミラージュに繋いだコードやケーブルを引き抜きながら、ティアナは今後の段取りを思案する。 まずはロングアーチに列車停止を報告、ついでにスバル達の戦闘状況も伝えておけば効率的だろう。 その後はスバルと共にエリオ達と合流……否、先にスバルを合流させて後から追い着いた方が良いだろうか。 各車両内の映像を映すウィンドウ群を見回すティアナは、その時ふと眉を顰めた。 エリオ達の戦う第九車両からの映像が、いつの間にか途絶えている。 受信機の故障か、それとも戦闘の余波でカメラが壊れたのか……十中八九後者だろーなーとエリオ達の荒っぽい戦い方に嘆息を零しながら、ティアナは二人に通信を繋ぐ。 「エリオ? キャロ?」 二人の名を呼びかけてみるが、しかし通信機から返るのは雑音のみ……念話でも同じことを試してみたが、結果は変わらなかった。 敵のジャミング……ティアナの顔から血の気が引いた。 AMFを全開にすれば、通信魔法の妨害など造作も無い。 その思考に至らなかった自分自身を責めながら、ティアナは唯一通信の繋がる仲間――スバルに叫ぶ。 「スバル! エリオとキャロを助けて!!」 同時刻、エリオとキャロは半壊した第九車両で、巨大な敵と対峙していた。 比喩ではない……自動扉を周囲の壁ごと突き崩し、ガジェット掃討も佳境に入っていた第九車両に、それは突然姿を現した。 車両の幅の半分以上を塞ぐ球形の巨体――これまで自分達が倒してきたガジェットとも、外でなのは達が戦う敵とも異なる、しかし明らかにその面影を持つ新手の敵。 ガジェットの新型、卵型の通常タイプをⅠ型、三角形の航空型をⅡ型とするならば、これはさしずめⅢ型と言ったところだろうか。 この車両に残存していたガジェットⅠ型数体を周囲に従え、威圧するように自分達と相対する未知の敵に、エリオ達の顔が緊張に強張る。 ガジェット達も敵を警戒しているのか、攻撃を仕掛ける様子も先の車両に進攻する気配も見せない。 まるで時が止まったかのように続く沈黙、しかしこのまま永遠に睨み合いで時間を浪費する訳にもいかない。 「キャロ、頼むよ」 「任せて、エリオ君」 パートナーの言葉に力強く首肯し、キャロは呪文の詠唱を始める。 エリオの足元に薄桃色の魔方陣が展開され、くるくると独楽のように回転しながら輝きを増していく。 「What I want is the chain of bonds, What I wish is the sword of justice.(我が請うは縛めの鎖、我が求めるは正義の剣) What I hope is the bliss of my edge, what I desire is ruin of my enemy.(我は望む幸運を我が刃に、我は欲する破滅を我が敵に)」 朗々と紡がれるキャロの言の葉を聞きながら、エリオは腰を落としてストラーダを構えた。 両脚にぐっと力を込め、穂先の切っ先に魔力を集束させる。 穂先の付け根のカバーがスライドし、カートリッジの空薬莢が排出される。 放物線を描いて落下する空薬莢が、からりと音を立てて床に転がり……瞬間、エリオが動いた。 地を穿つような勢いで床を蹴り、デバイスのブースターを点火する。 ほぼ同時に、キャロの呪文も完成していた。 「アルケミックチェーン・デュアルブーステッド!!」 車両内に凛と響き渡るキャロの声と共に、床に敷かれた魔方陣から数本の鎖が〝高速で撃ち出され〟た。 術式構成の段階で「加速」と「突撃強化」の補助効果を組み込まれ、無機物操作の魔法によって召喚と同時に矢のように射出された錬鉄鎖が、ガジェットⅠ型を正確に射抜く。 一つ眼に灯る光が消え、鎖に貫かれたまま力なく床を転がるガジェットⅠ型に一瞥も向けることなく、エリオはただひたすらに目の前の敵――ガジェットⅢ型へと突き進む。 ≪Sonic――≫ デバイスの無機質な呟きと共に、エリオの世界がギアを切り替えた。 音が消え、まるで早回しのビデオのように加速しながら流れ過ぎる景色……神速の領域、時の流れから切り離された孤独な世界で、エリオはただひたすらに前進を続ける。 走る、奔る、駆ける、翔ける……。 敵の懐に飛び込む、己の間合いに捻り込む……辿り着いた。 床を踏み締める、槍を振り上げる、そして……飛ぶ! ≪――Move≫ 再度耳朶を打つストラーダの声……音を取り戻し、世界は正常な時の流れに帰還した。 一瞬でガジェットⅢ型の頭上に移動したエリオが、渾身の力を込めてデバイスを打ち下ろす。 大上段から振り下ろされたエリオの斬撃を、ガジェットⅢ型は帯のようなアームを交差させて受け止めた。 魔力の刃と鋼の鎧がぶつかり合い、火花を上げて拮抗する。 堅い……予想外の敵の頑丈さに歯噛みしながら、エリオは更に槍を捻じ込む。 魔力を纏った鋼の切っ先が敵のアームを貫通し……刹那、逆三角形に並んだガジェットⅢ型の三つ眼が不気味に輝き、放たれた光線がエリオの身体に突き刺さった。 「ぐぁっ……!」 呻き声と共に吹き飛ぶエリオを、ガジェットⅢ型のアームが絡め取るように拘束した。 容赦なく身体を絞めつける敵の拘束に骨が軋み、エリオの口から苦痛の声が漏れる。 「エリオ君!」 捕われたパートナーに悲鳴を上げ、エリオの元へと走り出すキャロの足に、黒い触手が絡みついた。 転倒するキャロの目に映ったものは、身体を貫く鎖を引きずりながらゆっくりと起き上がる、破壊した筈のガジェットⅠ型。 倒し損ねていた……キャロの瞳が愕然と凍りつく。 再起動したのか、最初から死んだフリをしていたのかは定かではないが、どちらにしても形勢が逆転してしまったことに変わりは無い。 危機に陥る主の前にフリードが盾のように立ち塞がり、口元に火球を生み出す……が、生成された炎の弾丸は、しかしその直後に魔力レベルで霧散した。 AMF……キャロの顔が絶望に染まった。 必死に術式を構築しようと試みるが、魔力は欠片も結合しない。 足掻くキャロを嘲笑うように、ガジェットⅠ型は触手をのばしながら獲物ににじり寄った。 割れた単眼が鈍く煌き、コード状の触手が嬲るようにキャロの身体を這い回る。 「い、やぁ……!」 掠れたような悲鳴がキャロの口から漏れ、大粒の涙が頬を零れ落ちる。 その瞬間、エリオの中で何かが切れた。 「ゴミ屑風情が……キャロを、放せええええええええぇっ!!」 怒りに染まった咆哮と共に、突如エリオの全身から激しい電光が迸った。 まるで爆発するようにバリアジャケットが弾け飛び、衝撃でガジェットⅢ型のアームが千切れ飛ぶ。 敵の拘束から解放されたエリオはガジェットⅢ型に背を向け、キャロを陵辱するガジェットⅠ型へと走り寄った。 狂犬のように牙を剥き出し、猪のように直線的な突進を仕掛けるエリオを嗤うように、ガジェットⅠ型が光線を放つ……が、 「鬱陶しい!!」 怒号と共にエリオの体から放たれた電撃の牙が、まるで食い千切るように敵の光線を消し飛ばした。 守りたいと思った人がいた、護ると決めた人が出来た。 いつも笑っていて欲しいと願った、だから自分がその笑顔を守ろうと誓った。 故にエリオは……キャロを泣かせたあの敵を、全力全開で殺すことを心に決めた。 どくん……と、ストラーダの奥で何かが鼓動したような気がした。 「うおおおおおおおおおおおおっ!!」 雄叫びを上げながらエリオはガジェットⅠ型に肉薄し、デバイスを力任せに突き刺した。 体内の魔力の全てを電気に変換し、ストラーダ表面を伝えて敵の体内に叩き込む。 内部機構を直接破壊され、黒煙を吐きながら完全に機能を停止したガジェットⅠ型を、エリオは槍に突き刺したまま振り上げ、まるで鉄槌を振るうように床に叩きつけた。 まるで硝子細工のように粉砕され、破片を撒き散らしながら爆発するガジェットⅠ型に、キャロが安堵したように吐息を零す。 「ありがとう、エリオ君……」 涙の残る顔で控えめに笑うキャロに応えるように、エリオは荒い呼吸を整えながら満面の笑みで親指を立てた。 その時、エリオによる仲間の破壊を静観していたガジェットⅢ型が、再び動いた。 無機質な――しかしどこか獲物を狙う猛禽のような鋭い光が三つ眼に灯り、撃ち出された三条の光線がエリオの背中を襲う。 しまった……迫り来る敵の攻撃に、エリオは愕然とした表情を浮かべた。 キャロを助けることで頭がいっぱいで、背後の敵のことまでは考えていなかった。 身を護るバリアジャケットは既に無く、回避も電撃による相殺や防御陣の展開――魔力が残っていれば、の話であるが――もこのタイミングでは間に合わない。 やられる……自身の甘さと現実の残酷さに歯噛みするエリオの前に、青い影が突如滑り込んだ。 「スバルさん……」 まるで盾になるように自分の前に立ち塞がる白い背中、まるでヒーローのように自分の窮地に颯爽と現れた仲間――スバルの名を、エリオは思わず呟いていた。 ≪Protection≫ 術式発動を告げるデバイスの声と共に、スバルは掌を前方へと突き出す……が、AMFが展開されているのか防御陣が出現することはなく、三発の光線が正面からスバルを直撃した。 「ぁ痛っ!?」 「「スバルさん!?」」 予想外の事態にスバルは小さく悲鳴を漏らし、エリオとキャロは唖然と声を上げる。 しかし第五車両の時には敵の不意打ちにあっさりと吹き飛ばされたスバルだったが、その際の教訓を生かしたのか、今度は踏鞴一つ踏まずに持ち堪えてみせた。 文字通り身を盾にして仲間を守り抜き、スバルは背中越しにエリオ達を振り返る。 「二人とも、よく頑張ったね。もう大丈夫だよ!」 笑いながら紡がれたスバルの科白は、根拠も説得力も――数秒前に本人があっさりと敵の攻撃を喰らったこともあり――皆無だったが、何故かエリオ達の心に染み入った。 格好良い……と、素直に思えた。 「さぁ、二人とも……皆で玉コロ退治といこーか!!」 不敵な笑みと共に轟くスバルの号令と共に、反撃が始まった。 天元突破リリカルなのはSpiral 第10.5話「初めて会っていきなりだけど、一緒に頑張ろうね(後編)」(続) 戻る 目次へ 次へ
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魔法少女リリカルBASARAStS ~その地に降り立つは戦国の鉄の城~ 第十二話「starlight and steel」 ゆりかご内部、ヴィータと別れて玉座の間に向かうなのはと忠勝。 心配は心配なのだが今は自分に与えられた任務を全うすべき。自分もそう思っていた。 途中で感じる違和感。それは誰かがこちらに向けてくる殺気。自分が立ち止まるとなのはも止まり 「どうしたの?」 今ここでなのはを攻撃されてはまずい。手を奥のほうへ突き出し「先に行け」と目で訴える。 最後まで疑問を浮かべていたが先に言ってくれた。あとはその違和感の元を立つのみ。槍を出すといきなり少女が現れ肩に触れる。 触れた肩に違和感が。中に何かを流されたみたいな感じがする。少女は自分の正面に立つ。 「IS発動、ランブルデトネイター。」 刹那、触れた肩が爆発した。幸いなことにあまり重症ではないが先端が欠けている。 目の前に立つ隻眼の少女は殺気を放った目でこちらを見ていた。敵だ。今のでそう確信できた。 槍を振るう直前に小さな刀が目の前を飛ぶ。振り払おうとした瞬間、また爆発。 こいつは敵であると同時に、自分とは相性の悪い能力を持っているようだ。 交差するウィングロード。ぶつかり合う拳。その下で舞う邪気、飛ぶ手裏剣。 スバル、ギンガ、小太郎、光秀の戦いはまだ続いている。 「くぅううぅ……!」 「………。」 ギンガの攻撃をバリアで防ぐスバルだったがギンガの手首がいきなり回転し始めた。手がドリルのようになり、 スバルの結界を砕く。ドリルは止まらずスバルの肩を襲い、少しだが肉を抉る。 「くぅ…あぁぁぁっ!」 落下してさらにギンガの追撃を食らってしまい、道路にその体を叩きつけられた。 下では光秀の鎌が小太郎の腹を切り裂いた。傷は浅いのだがやはり激痛が走る。 光秀は自分より傷が多いはずなのに笑いながら立っている。恐ろしい男だ。 俯いて何か呟いているが無防備。チャンスは今しかない。忍者刀を構えて走り出すが刹那、顔を上げた光秀の妖しく緑に光る目を見ると体が動かなくなった。 「!!」 無防備になった小太郎を襲う鎌。痛い。確かに痛いのだが傷は出来ていない。それどころか自分の傷が緑色の球体となって光秀のあたりに浮いている。 吹き飛ばされて攻撃が止まったと思い前を見ると球体が光秀の中に吸収されて自分が与えた傷が治っていく。 「ごちそうさまです…。」 妖しく笑う光秀、全身に寒気と恐怖が走る。だがここで倒れてはいられない。 再び忍者刀で傷を与えていく。与えてはいるのだがいつまでも光秀の顔からは笑みが消えない。 「はははは…はははははは!すごい!すごいですよ!この世界に迷い込んで信長公には会えなかったけど、ここで伝説の忍と斬りあうことができるなんてぇぇぇぇぇ!!」 「!?」 今なんと言った?「信長公には会えなかったけど」だと?つまり光秀は戦場に迷い込んで、スバルの姉とは戦場がたまたま同じだった…ということか。 なんとご都合主義なんだ光秀。 上空ではまたもや爆発音が響く。 眼が虚ろになって落ちていくスバル。それを追うギンガ。だがギンガの一撃をマッハキャリバーが動き、防ぐ。 「Wing lord!」 マッハキャリバーが展開したウィングロードに着地するスバル。 見つめた先に助けてくれた自分の相棒。相棒はスバルを励ますように、語りかける。 「We can still take actions... you and I.(まだ動けます・・・私も、あなたも。) We can still fight. So why abandon now?(まだ戦えます。なのに、こんな所で終わる気ですか?) You taught me the reason of my being here, my strength and power which you adore so much.(あなたが教えてくれた、わたしの生まれた理由。あなたの憧れる強さ。) 」 その言葉はひどく重く、スバルの心に圧し掛かる。しかし何故だか、悪い気分はしない。 むしろ、逆に戦意が沸いてくる。 「Don t make everything a lie.(嘘にしないでください。) In addition, that person should expect it, too.(それに、あの方もそれを望んでいるはずです。)」 「!」 完全に戦意を取り戻したスバル。同時に下で起きる「気」の爆発。視線を向けた先には倒れる光秀。 そして漆黒の着物に身を包み、漆黒の翼を背中から生やした風魔小太郎の姿があった。辺りに舞う羽、小太郎は首を横に向けると微笑して頷いた。 無言だったが向けられた背中は「戦え。」と確かに自分に伝えていた。 「ごめんね…マッハキャリバー、風魔さん。いくよ!」 「All right buddy.(はい、相棒)」 「………。」 新たに宿った戦意を心にスバル、風魔、マッハキャリバーは再び目の前の相手の前に立つ。 「はあぁぁぁぁぁぁあ!!」 スバルに魔力が集中。呼応するようにマッハキャリバーもその体を光らせた。 「Ignition.」 「A.C.S.エクセリオン!」 「A.C.S. Standby」 左右の足に二枚ずつ、蒼白い大きな翼が生み出される。 マッハキャリバーモード3・ギアエクセリオン 同時に風魔小太郎も己の中に秘めていた気を一気に開放する。 戦極ドライブLv3、発動 スバルは全速力でローラーを走らせてギンガの攻撃を回避して目の前へ。 風魔は印を結び「風」と虚空に描いて究極バサラ技を発動。同時に立ち上がった光秀に連続攻撃を当てていく。 ギンガの腹に拳を当てるスバル。腕に巨大な手裏剣を二枚生み出して構える風魔。 「一撃……必倒ぉぉぉぉっ!!ディバィィィィィィン!!バスタァァァァァァァァッ!!」 スバルの拳から放たれた蒼い光がギンガの身を包む。 そして光秀は手裏剣に直撃、道路のガードレールを越え、遥か下方へとその姿を消した。 一方、ティアナと猿飛佐助は三人相手に互角の戦いを見せている。 「やれやれ、捕らえるのがこうも難しいとはねぇ。」 のんきに笑いながら頭を掻く佐助だがティアナは結構必死だ。 「アンタみたいにのんきに戦いをやってないからよ。」 「あ、ちょっとその言葉撤回してほしいな。これでも本気だぜ?」 「そんなヘラヘラ笑いながら言われても説得力ないわよ。」 二人の間に黄色い魔力の道が走る。その上から走ってくるノーヴェの攻撃を回避して佐助はバックステップ。 後ろでツインブレードを振りかざしてきたディードの攻撃を手裏剣で防ぐ。そこにクロスミラージュで援護射撃。もう一発でウェンディが放った魔力弾を打ち落とす。 離れたディードの隙を突いて佐助は腹を蹴り、元いた場所に着地。 「うん、中々じゃないか?」 「そりゃどうも。次、行くわよ。」 「へいへい、人使いの荒いことで。」 そう言うとジャンプして下方に落下、ノーヴェ達は追うが降りると自分達の周りに数十人に増えたティアナがいた。 すかさずセンサーを発動し、あたりを見回す。その中で反応が大きいのを見つけ、攻撃する。 「同じ手は通用しねぇんだよ!」 「どうかな?」 攻撃を食らったティアナは黒い粒となって分裂。上から現れた手裏剣を構えたティアナの一撃を受け、吹き飛ぶ。 分身が消え、ティアナの姿に化けた佐助は元の姿に戻る。 「さすがに忍術は通用するでしょ~?」 「クッソォ!」 佐助はヘラヘラと笑う。後ろから突然現れたウェンディ。すでに砲撃準備完了している。 「危ない!」 「へ?」 砲撃が佐助の頭に直撃する。白目で床に倒れる佐助。驚愕するティアナ。 気を抜いた所を突かれ、佐助は倒れた。勝利を悟ったかのように接近するノーヴェ達。 「形勢逆転っすねぇ…。」 「覚悟しやがれ…。」 「………。」 次第に追い詰められていくティアナだが三人の武器、ポジションを見て思考する。 完璧だが、単純なポジション。クロスミラージュに魔力を溜めていく。ティアナが冷静なのはもう一つ理由がある。 佐助はこのぐらいでは死なない。それを裏付けるかのように、倒れていた佐助は黒い粒となり、溶ける。 飛びかかるノーヴェにまず一発。ノーヴェの攻撃は止めた。 「なっ!?」 次にウェンディが溜めていた魔力に一発。 「うっそぉ!?」 爆発して砂塵が巻き起こりクロスミラージュをモード2に移行。ダガーでディードの攻撃を防ぐ。 次に先ほど倒れたはずの佐助が地面から出現。隣にはディード、ウェンディ、ノーヴェの姿をした影が。 驚いてる三人に魔力弾を打ち込むとティアナは離脱。佐助は影とともに体を高速回転。バサラ技を発動。 回転は三人を巻き込んだ。数秒すると回転は止まりノーヴェ達は気を失い、倒れる。 「や~、スッキリしたぁ~。」 「ちょっとやりすぎじゃないの?気を失ってるとはいえ…。」 「そうか?ま、ティアナの援護がなきゃ不利だったのは確かかもな。ありがとよ。」 「…うっさい。」 「うわ、ひっど!」 佐助、ティアナの照れ隠しに気付かず。 ゆりかご内部。隻眼の少女、チンクと本多忠勝は戦う。 忠勝はチンクの触れた金属にエネルギーを流し込み、爆発させるというIS、ランブルデトネイターに苦戦している。何せ攻撃形態の砲身まで壊されたのだからうかつに手出しができない。 そしてチンクもまた、忠勝のパワーに苦戦している。一発当たっただけで体がバラバラになりそうな衝撃が走る。スピードで翻弄してここまで追い詰めているのだが。 「お前…やるな…。」 「………。」 忠勝も無言で相手に敬意を表する。無難に盾を展開させて防御形態をとる。 チンクは盾にエネルギーを流し込んだナイフを当ててISを発動させようとする。 「IS発動、ランブルデトネイッ…!?」 発動させる直前、忠勝は全速力でチンクに接近、爆発に巻き込んだ。二人とも吹き飛んで膝をつく。 盾は砕けてしまったがこれでダメージを与えることはできた。だがこれで盾も失った。次に突進形態。 チンクは跳び、忠勝の両肩に手をつけてエネルギーを送り込む。着地した瞬間ISを発動。突進形態中は急は方向転換は不可能だ。 当然肩は爆発。おまけに爆風でさらに加速がついてしまい、壁に激突。接近してきたチンクに向かい槍を振るう。 「う…くっ!」 今度はチンクが壁に激突。同時に忠勝は槍を縦に構えると紋章が開き、三個の砲身が宙に浮かぶ。 一説ではこの砲身を「ファンネル」や「ビット」とも言う。 忠勝、援護形態。 一回槍を振るう。単純な横凪ぎなため簡単に回避することができたが後ろに現れた砲身から出たプラズマ弾を受け、落ちる。 「…!?」 さらに後の二門が容赦なくチンクにプラズマ弾を当てていく。斜めに振り下ろした槍の攻撃を受けて吹き飛ぶ。 砲身が忠勝の前に留まり、電流で三角形を描く。忠勝はというと低く構えて槍を前に突き出している。突進形態の体勢だ。 「まず…!!」 回避しようと動いた時には、小さな体が突進に巻き込まれていた。 「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 忠勝は一歩離れて槍をチンクの顔に構えるが、それ以上は何もしない。 「…殺さないのか?」 傷ついたチンクの言葉に頷き、槍を下ろして背を向ける。忠勝の行為にチンクは鼻で笑う。 「まったく、甘いな。」 それは自分でも十分承知している。だが誰かに「殺すな」と言われた…といってしまえば嘘に聞こえてしまうのだろうか。 「殺すな」と言ったのは自分自身かもしれないし、または自分以外の誰かかもしれない。とにかく、言われたのは確かだ。 忠勝は先を急ぐ。 チンクはその無防備な背中に攻撃を加えようとしたが、できなかった。 なんで出来なかったのは、謎のまま。 戻る 目次へ 次へ
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【名前】キャロ・ル・ルシエ 【出典】魔法少女リリカルなのはStrikerS 【声優】高橋美佳子(「魔法少女リリカルなのは」のクロノ・ハラオウン) 【種族】人間 【性別】女性 【年齢】10歳 【外見】 桃色の髪。 【性格】 まじめで素直でおっとりしている。多少うっかり。 【原作での設定】 6歳にして白銀の飛竜を従えるほどの召喚術の才能をみせたが、それ故に危険として(強い力は争いと災いしか呼ばないとされた)部族から追放されたという過去を持っている。 その後、管理局に保護されるが、強力だが制御できない力を局でも持て余していたところで、フェイトが引き取って面倒を見ることになった。 その縁があり、エリオ同様、フェイトの力になりたい一心で機動六課に自ら志願し、配属された。 【面識のある参加者】 名前 呼び名 関係 高町なのは(sts) なのはさん 同じ部署に所属する上司 フェイト・T・ハラオウン(sts) フェイトさん 同じ部署に所属する上司で恩師。「お姉さん」のような存在 八神はやて(sts) 八神部隊長 機動六課の部隊長 ヴィータ ヴィータ副隊長 同じ部署に所属する上司 シグナム シグナム副隊長 同じ部署に所属する上司 シャマル シャマル先生 同じ部署に所属する医務官 ザフィーラ ザフィーラ はやてやヴィヴィオのボディーガード スバル・ナカジマ スバルさん 同じ部署に所属する同僚 ティアナ・ランスター ティアさん 同じ部署に所属する同僚 エリオ・モンディアル エリオ君 同じ部署に所属する同僚であり、かなり親しい仲 ギンガ・ナカジマ ギンガさん スバル・ナカジマの姉 ルーテシア・アルピーノ ルーちゃん 敵だが、何故か気になる 【技能・能力】 能力名 内容 魔法 自身の魔力を用いて起こす技能。特にミッドチルダ式の補助系魔法、主にブースト系が得意。 デバイス操作 デバイスを扱う技能。特にケリュケイオンの扱いに優れている。 竜使役 キャロの竜、フリードリヒ・ヴォルテールを使役する能力 召喚魔法 キャロが使用する魔法。
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高町なのは:田村ゆかり フェイト・テスタロッサ・ハラオウン:水樹奈々 八神はやて:植田佳奈 スバル・ナカジマ:斎藤千和 ティアナ・ランスター:中原麻衣 エリオ・モンディエル:井上麻里奈 キャロ・ル・ルシエ:高橋美佳子 リーンフォースⅡ:ゆかな シャリオ・フィニーノ:伊藤静 ヴィータ:真田アサミ シグナム:清水香里 シャマル:柚木涼香 ザフィーラ:一条和矢 ヴァイス・グランセニック:中村悠一 グリフィス・ロウラン:箭内仁 アルト・クラエッタ:升望 マリエル・アテンザ:阪田佳代 ルキノ・リリエ:ゆかな ヴェロッサ・アコーズ:小野大輔 ユーノ・スクライア:水橋かおり ヴィヴィオ:水橋かおり 寮母アイナ:高森奈緒 ギンガ・ナカジマ:木川絵理子 ゲンヤ・ナカジマ:大川透 ラッド・カルタス:柿原徹也 カリム・グラシア:高森奈緒 シャッハ・ヌエラ:阪田佳代 リンディ・ハラオウン:久川綾 レジアス・ゲイズ:石原凡 副官オーリス:桑谷夏子 ミゼット:清水香里 ジェイル・スカリエッティ:成田剣 ルーテシア:桑谷夏子 ゼスト:相澤正輝 アギト:亀山真美 ウーノ:木川絵理子 トーレ:木川絵理子 ドゥーエ:又吉愛 クアットロ:斎藤千和 チンク:井上麻里奈 セイン:水橋かおり セッテ:桑谷夏子 オットー:伊藤静 ノーヴェ:斎藤千和 ディエチ:升望 ウェンディ:井上麻里奈 ディード:伊藤静 デバイス レイジングハート、レイジングハート・エクセリオン:Donna Burke バルディッシュ、バルディッシュ・アサルト:Kevin J.England グラーフアイゼン:柿原徹也 レヴァンティン:柿原徹也 クラールヴィント:Alexandra Haefelin マッハキャリバー:Kaoru Edo クロスミラージュ:Jamie Schyy ケリュケイオン:Kaoru Edo ストラーダ:柿原徹也 ストーム・レイダー(ヘリのAI):Joanna Day 1話 局員A:遠藤圭一郎 局員B:伊丸岡篤 5話 老人:杉崎亮 老婆:近野真昼 10話 警邏職員:遠藤圭一郎 謎の少女:水橋かおり 15話 オーリスの部下:遠藤圭一郎 評議長:林理幹 16話 チンク:井上麻里奈 セッテ:桑谷夏子 レジアスの部下:小林かつのり 司令:遠藤圭一郎 17話 オットー:伊藤静 ディード:伊藤静 研究員:遠藤圭一郎 18話 ニュースレポーター:遠藤圭一郎 20話 ミゼット:清水香里 ドゥーエ:又吉愛 評議長:林理幹 議員:遠藤圭一郎 21話 通信士:又吉愛、遠藤圭一郎 作品一覧 ま行 アニメ一覧:ま行?
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第三回放送 ◆Vj6e1anjAc それは、小さな願いだった。 ■の■の名を授けられ、世界に滅びの力を振りまき、忌み嫌われること数世紀…… けれど、悲しい時間はもう終わり。 最後に出会った■■の主は、私に名前を与えてくれた。 強く■■■■もの……幸運の■い■…… 忌まわしき呪いの名前ではなく、祝福の■■■の意を冠した名前――■■■■■■■。 名前を呼ばれたその夜に、私は戦うことを決めた。 運命という名の鎖を砕く力を、この手に主と共に掴むため……私は自らに課せられた宿命と戦うことを、その時初めて決心した。 別に、大層な正義があったわけじゃない。 世界全てを守る力も、世界全てを牛耳る力も、私は欲していたわけじゃない。 ただ、ほんのささやかな願いのために……心優しき家族と過ごす、暖かい日々を手に入れるために…… 私は自らの運命と戦い――運命に、打ち克ったのだ。 願ったものは、手に入れた。 ほんの僅かな時間ではあっても、求めていたものを手に入れることができた。 手にした日常はありふれていて、本当になんてことのない日々だったけれど。 ただ命令にだけ従い、破壊と殺戮を生むだけだった生涯の中では、最も心穏やかでいられる、尊く愛しい時間だった。 ああ――本当に。 それで全てが終わりなら、本当に幸福だっただろうに――。 ◆ こんばんは。 これより18時をお伝えすると同時に、第3回目の定期放送を行いたいと思います。 今回も過去の2回同様、禁止エリアから発表させていただきますので、メモの用意をお願いします。 ……なお今回の放送ですが、現在プレシア・テスタロッサ氏がお疲れのため就寝中ですので、 今回に限り、僕が代役を務めさせていただきます。 ゲームの進行には何ら問題はありませんので、ご了承ください。 それでは、禁止エリアの発表です。 19時からI-7 21時からH-6 23時からE-5 以上、3箇所となります。 これまでの禁止エリア同様、場所と時間をお忘れなきよう、十分にご注意ください。 ……では続きまして、前回放送から現在までの間に出た死者の名前を発表させていただきます。 浅倉威 L キース・レッド キャロ・ル・ルシエ 早乙女レイ C.C. シェルビー・M・ペンウッド シャマル シャーリー・フェネット 新庄・運切 ゼスト・グランガイツ セフィロス チンク 天上院明日香 柊つかさ フェイト・T・ハラオウン 万丈目準 ルーテシア・アルピーノ ルルーシュ・ランペルージ 以上、19名となります。 プレシア氏からは、 「前回が9名だったという点を考慮すると、非常に素晴らしい戦績だと思う。今後も頑張ってほしい」との伝言を預かっております。 僕の目から見ても、今回の結果は非常に優秀なものだったと思います。 この分ならば、あるいは次の日の出よりも早くゲームが終了するかもしれません。 早めにゲームが終わるのは、我々管理する側も楽ができることに繋がりますので、これからも頑張ってゲームに臨んでください。 最後に、ボーナスの発表です。 この放送が終了した瞬間から、皆様が他の参加者を殺害する度に、お手持ちのデイパックの中に、1つずつ支給品を転送させていただきます。 デイパックをお持ちでない方の場合は、その場に転送させていただきますので、回収忘れのないようにご注意ください。 さすがに極端に強力な支給品を提供することはできませんが、 少なくとも一定以上の有用性のある武器をご用意させていただきますので、有効にご活用ください。 それでは、今回の放送はこれにて終了です。 放送は僕――オットーが担当させていただきました。 ◆ かつ、かつ、かつ、と。 薄暗い廊下を叩くブーツの足音。 硬質な床を鳴らすたびに、腰から生える尻尾がゆらゆらと揺れる。 白と茶色を基調とした衣装を纏う、ショートヘアの女性は、プレシア・テスタロッサが使い魔――リニスだ。 (さすがに、そう上手くはいかないか……) ふぅ、と軽くため息を漏らす。 その顔立ちに浮かぶのは憂い。 その感情の矛先は、つい先ほど流れたばかりの放送だ。 さかのぼること10分前。 少し疲れたから仮眠を取る――主君プレシアは、不意にそんなことを口にした。 無理もない。かれこれ18時間一睡もしておらず、おまけに先ほどは浅倉の手によって、あのような事件まで起こされている。 体調の優れないプレシアにとっては、そろそろ疲労もピークといったところだろう。 リニスはこれを快諾し、ベッドで休むように勧めた。 彼女を裏切るような真似に出ようとしている身が、そんなことを思うのも妙な話だが、確かに彼女の体調を案じてはいた。 だがその一方で、これはチャンスでもあった。 このタイミングでプレシアが眠るというのならば、誰かが代わりに放送を行う必要がある。 いつぞやに彼女が漏らしたように、自分に放送の代役が回ってくる。 殺し合いを止めたいと願い、いくつかの支給品に希望を託した彼女にとっては、まさに千載一遇の好機。 直接的な言い回しをすれば、後々でプレシアに意図を悟られてしまうだろうが、 遠まわしな表現で、それとなく支給品の存在を匂わせることはできるだろう。 そのためにも、この放送代役は何としても引き受けなければならない。 リニスは前述の勧めの後、放送の役目を自分に任せるよう、進言するつもりだった。 だが、しかし。 そう思った後がよくなかった。 ――では次の放送は、代わりに僕が担当させていただきます。 そう割り込んでくる声があったのだ。 短い茶髪/中性的な顔立ち/華奢な体躯/パンツルック。 ぱっと見では男とも女とも分からぬ、しかしどちらでもありそうな容姿をした、戦闘機人ナンバーⅧ――オットー。 ガレアの冥王の調整を担当しているウーノの妹であり、同時に会場にいるクアットロの妹でもある男装の少女。 そのオットーに先を越されてしまった。 自分が放送をやると言い出す直前に、彼女がどこからともなく現れ、放送をやらせてほしいと言い出したのだ。 プレシアの返答は、是。 断る理由などなかった。 ただ死者と禁止エリアとボーナスを読み上げるだけの放送担当など、誰に任せても同じことだったのだろう。 一応、こんな腹の知れぬ者に任せていいのか、とだけプレシアに尋ねた。 こういう仕事には貴方よりも向いている人材だと思う、という返事が返ってきた。 なるほど確かに、的を射ている。 お人よしな自分よりも、冷徹な機械人形そのもののようなこの娘の方が、メッセンジャーには向いているように見える。 悔しいが、そう返されては仕方がない。 それ以上言い募ることがあれば、違和感を覚え怪しまれてしまうことに繋がるだろう。 あるいはオットーを選びリニスを遠ざけたことが、大なり小なり疑われていることの表れなのかもしれないが。 そうしてリニスは放送を行うことを断念し、現在の状況に至っていた。 放送役に選ばれなければ、彼女がやることは決まっている。元の通り、参加者達の監視だ。 新ルールの適応は、リニスにとっては有利とも不利とも言えない、といったところ。 武器を与えるとは言っても、他人を殺せる人間は、大体既に武器を所有している者か、武器をも必要としない超人くらいだ。 よほどのものが支給されない限り、そうそう脅威の度合いは変わらない。 主催に抗う立場の者に奪わせるにしても、自分が忍ばせた支給品のような、脱出の糸口になるようなものにはなりえないだろう。 これが浅倉の提言した通り、「知りたい参加者の居場所を教える」というものだったならば、もう少しまずかったかもしれない。 だがそれは却下された。プレシアのプライドが、あの男の望みを叶えることを拒んだのだ。 ふと、足を止め。 すぐ左側の階段へと目をやる。 地下へと繋がるその先にあるのは、デスゲームの会場を覆う結界維持を担うもの。 否――“その性質を考慮すれば”、ある意味デスゲームの会場そのものの根幹といっていいだろう。 ぴ、ぴ、ぴ、と。 手元の端末を操作し、空間モニターを投影する。 淡い光を伴って、虚空に浮かび上がったのは、光を放つ一冊の本。 (異なる世界から奪い取った、もう1つの夜天の書……) 古びた茶色の表紙に、黄金の剣十字をあしらった魔導書。 かつて闇の書と呼ばれ恐れられた、古代ベルカのロストロギアの成れの果て。 あれがデスゲームの会場を、会場たらしめる仕掛けだった。 殺し合いのフィールドを展開する魔法そのものは、“この地”に足を踏み入れてしばらくの後に入手している。 だが、その構成式は極めて難解で、必要となる魔力も膨大。 いかな大魔導師プレシアと言えど、すぐにその式を物にするのは不可能であったし、 よしんば術を完全に修得したとしても、一個人が何時間も何日も展開し続けられるようなものではなかった。 そこで、前者の問題の解決のため、白羽の矢が立ったのが夜天の書だ。 かつて強力な蒐集能力を有していたそれは、闇の書の闇が消え去った今となっては、当時ほど強大な力を持ってはいないものの、 魔導の演算・実行装置としては、未だ優秀な性能を有している。 管理外世界のものでたとえるならば、スーパーコンピューターのようなものだ。 おまけにその術式の性質は、目的の魔法とも相性がいい。 闇の書の闇が存在しないということも、裏を返せば、暴走を避けられるということに繋がる。 自力では術を発動するための魔力を発揮できないという難点もあったが、それもジュエルシードによって補うことができた。 次元干渉型ロストロギアのエネルギーも、この手の魔法とは親和性が高い。 カメラをもう少しズームアウトすれば、合計10個のジュエルシードが、夜天の書を取り囲むように円を描いている様が見えるだろう。 (でも……そのためにも、犠牲を払ってしまった) リニスの表情に影が差す。 この夜天の魔導書も、ただで手に入れたわけではない。 その世界に住む持ち主から、無理やり取り上げることで手に入れたものだ。 夜天の書強奪――“この地”で手に入れた技術の実験運用を兼ねた戦いの結果は、まさに凄惨を極めたものだった。 招かれた結果は、海鳴市と呼ばれる付近一帯の壊滅。 大勢の人間が命を落とし、プレシアに立ち向かった魔導師・騎士達は、1人残らず、一方的に虐殺された。 当然その世界でもまた、フェイト・テスタロッサが命を落とした。 (私達は、一体どれほどの罪を重ねれば……) たどり着くことができるのだろう。 あるいは、止まることができるのだろう。 未だ暗い面持ちのまま、映像を切り足を進める。 何もかもが、自分に罪を思い出させた。 3人ものフェイト・テスタロッサを、助けることも止めることもできず、無惨に死なせてしまった罪。 幾人ものフェイトを作り上げ、死地へと追いやり殺してしまった罪。 それ以外にも大勢の人間を巻き込み、命を奪ってしまった罪。 この道を歩んだその先で、いつか贖罪することはできるのだろうか。 殺し合いを止めることができれば、それは罪を償ったことになるのだろうか。 歩みを止めるわけにはいかない。 されど、それで許されるとは限らない。 厳然とした事実が、彼女の心を憂鬱にさせた。 ◆ 悪夢なら、何度も見てきたつもりだった。 自ら悪夢を振りまく存在となって、何度も滅びを招いてきた。 だが、それでも。 こうしてこの光景を見ることで、得も知れぬ悲しみが胸に染みるのは何故だろう。 見慣れたはずの光景が、この胸を絶え間なく苛むのは何故なのだろう。 天空より暗雲を切り裂き迸る、次元跳躍砲撃魔法。 圧倒的な暴力を前に、成す術なく倒壊するビルの数々。 燃え盛る大地を覆い尽くすのは、見たこともないおぞましき軍勢。 放つ魔法の数々は、得体の知れないフィールドに無効化された。 数の暴力と天雷の猛威が、みるみるうちに自分達を追い詰めた。 紅の鉄騎の小さな身体が、巨獣の前足に踏み潰される。 風の癒し手の騎士甲冑が、膨大な弾幕に蜂の巣にされる。 蒼き狼の盾の硬い守りも、その先の身体ごと八つ裂きにされた。 烈火の将の突撃も通らず、散り一つ残すことなく蒸発した。 年若き黒衣の執務官も、緑の防壁の使い手も。 心優しき金の閃光も、不屈の心を抱いた砲手も。 全てが例外も容赦もなく、等しく赤い海へと沈んでいく。 涙と鮮血が海を成し、天空を照らす炎と共に、街と屍を飲み込んでいく。 ああ――そうか。 私はただ見てきただけだった。 見ているだけで、知らなかったのだ。 加害者として見てきた悪夢は、全て自身が一方的に押し付け、一方的に俯瞰するだけで。 加害者故に苦しむことはあったとしても、被害者として苦しむことなどなかったのだ。 苦しみをただ見ているだけで、実際に味わったことなどなかったから。 慣れも風化もないままに、全く未知の悲しみに、こうして純粋に苦悶しているのだ。 「主……■■■……」 頬を伝う悲しみの涙を、無理に止めようとはしなかった。 仮に止めようとしたとしても、止められないことは分かっていた。 「■■■、■■■■……」 生き残った主の口から漏れる声は、あまりにも小さく弱々しい。 五体を苛む苦しみが、根こそぎ体力を奪っていったに違いなかった。 「みんな……死んで、しもたんやな……」 「はい。主のご友人達も、守護騎士達も……全て残らず、逝ってしまいました……」 「そうか……」 アスファルトの上に倒れたまま、目の前の主君は微動だにしない。 飛べるだけの魔力はある。だが、身体の負傷がそうさせないのだろう。 地に落ちされた■■の主の姿は、ひどく痛ましいものだった。 無数の銃創と切り傷が、幼い肌と肉を抉り、穴の空いていない部分も、ほとんど痣で埋め尽くされていた。 特にひどいのが両足だ。 いずれも激しい戦闘の果てに、膝から下が潰されて、さながらミンチのごとき有様を晒している。 なんと皮肉で残酷なことか。 立って歩く力を奪われ、それでもそれを取り戻す兆しを見せた矢先に、その希望が打ち砕かれるとは。 否、もはや足だけではない。 これだけの失血だ。骨折や内臓破裂も多い。 立つだの歩くだの以前に――生きていられる時間すら、もはや残り僅かしかない。 「■■■■■■■……私の、命を吸って……」 「……何を、おっしゃるのですか」 声は、揺れていた。 それでも、それは驚愕故のものではなかった。 なまじ意味が分かってたからこそ、驚きとは異なる想いに声が揺らいだ。 「私のリンカーコアと、1つに、なれば……■■■■■■■は、生きることができる…… でも……このまま私が死んでしもうたら……■■■■■■■まで、消えてしまうやん……そんなの……共倒れやん……」 かつて闇の書と呼ばれていた時、目の前の主と、今は亡き金の閃光を取り込んだ理屈の応用だ。 主のリンカーコアを蒐集し、主の命を吸い尽くしてしまえば、私は生きながらえることができるだろう。 そうしなければ、自分まで死ぬ。 恐らくあの守護騎士達同様、主と■■の■を介して繋がっている自分の寿命は、主の死と同時に尽きることになる。 そうでなかったとしても、■の■の■を切り捨てた時点で、私に残された命など、よくて半年程度しかないのだ。 だが、しかし。 そうして主をこの身に取り込み、生きながらえることができたとしても。 「私の愛した者達は、1人残らず命を落としました……その上貴方まで逝ってしまえば……」 そんな生涯に何の意味がある。 愛すべき最後の主の命を、自らのパーツにまで貶めてまで生きる理由が、一体この世のどこにある。 私にとっての命とは、主達との日常そのものだった。 たった独りで生きる意味も覚悟も、私はまるで見出していなかった。 騎士を喪い、友を喪い、母なる主さえも喪った未来に、一体どれほどの価値があるというのだ。 「……私の大切なものも……もう……ほとんど全部、なくなってしもうた……」 虚ろな瞳が、天を仰ぐ。 鈍い灰色の曇り空を、主の瞳がぼんやりと見据える。 いつの間にか、雪が降っていた。 灰色だけの空の中に、柔らかな白が舞っていた。 ゆらゆらと舞い降りる冷たさが、私の肌に落ちていく。 涙で濡れた頬に触れて、心の奥底まで冷やしていく。 「でも……だからこそ、■■■■■■■だけは……最後に残った……■■■■■■■だけは……手放したく、ないんよ……」 ああ、それでも私の命を望むというのか。 それでもなお私の主は、私に生きることを願うというのか。 まったくもって、ずるい人だ。主君にそんな風に言われては、嫌でも拒むわけにはいかないではないか。 主の望みを叶えるということは、主の肉体の尊厳を損ねることに他ならない。 しかしその望みを拒んでしまえば、主の精神の尊厳までも損ねてしまう。 そんな言い方をされてしまっては、どんな絶望的な未来であろうと、行き続けなければならないではないか。 まったく、こんな私などに、こんなずるい言い回しをしてまで、生きることを望むだなんて。 あるいはそんな優しさがあったからこそ、私はあの日に救われたというのか。 「私の、命……■■■、■■■■に……全部、あげる……せやから……」 神がこの世にいるというのなら、私はその神を恨む。 運命が定められているというのなら、私はその運命を憎む。 こんなあんまりな結末しか、私達には用意されていなかっただなんて。 手を伸ばして掴んだかと思えば、こんなにもあっさりと奪われてしまうだなんて。 「私の……分まで……」 ああ。 本当に。 「強く、生きてや……リインフォース――」 全てがあの日のままに、幸せに終わっていたならば――本当に幸福だっただろうに。 ◆ 時の庭園。 かつてミッドチルダの魔法技術によって建造された、次元航行可能な移動庭園である。 プレシア・テスタロッサの買い取ったそれは、彼女の研究のために、随所に様々な改修がなされていた。 長き次元航行の果てに草木を枯らせ、醜い岩肌を晒したその姿は、 彼女が召喚した傀儡兵の存在もあいまって、今や庭園というよりは、要塞と呼ぶ方が相応しい存在であろう。 「その外観を相変わらず使いまわしてるってのは、どんな未練なんだろうねぇ……」 ぽつり、と響く女の声。 いつしか庭園のすぐ傍には、2つの人影が立っていた。 片やオレンジ色の髪を生やした、グラマラスな肢体を露出した女性。 髪色と同じ色の耳と尻尾は、犬かはたまた狼か。人ならざる魔導師の尖兵――いわゆる使い魔と呼ばれる存在であろう。 「それで、どうするんだい? やっぱりまずは、夜天の書を取り戻すとこから?」 どうやら先ほどの声は、この狼風の女性のものだったようだ。 さばさばとした気の強い声が、傍らの人影へと問いかける。 「いや……ここにあることは分かっているが、どこに隠されているのかは検討もつかない。 奴の動向や目的を探るためにも、まずは内部の構造を調べるべきだろう」 「だね。外見が同じだからって、中身も同じとは限らないわけだし」 狼女の問いに答えたのは、全身黒ずくめの衣装を纏った女性だ。 ところどころに彫金が施された、ドレスのような装束は、古代ベルカ騎士の装備する騎士甲冑。 背中の4枚2対の翼まで漆黒な中、雪のごとき銀色の長髪と、血のごとき真紅の双眸が、ひどく鮮やかに輝いていた。 「すまなかったな、使い魔アルフ……こんなことに付き合わせてしまって」 「いいってことさ」 銀髪の女の言葉に、アルフと呼ばれた使い魔が笑顔で返す。 「あんたが助けてくれなかったら、あたしはあのまま何もできずに死んでいた…… 最後に残されたこの命で、せめてフェイトの仇が討てるっていうなら、安いもんだよ」 このオレンジの毛並みの使い魔もまた、かの世界の海鳴の生き残りだった。 否。 正確には、到底生き残りと言えるようなものではなかったのだが あの日プレシア・テスタロッサに敗北し、主フェイト・テスタロッサを喪ったアルフは、比喩も誇張なしに死の淵に立たされていた。 主君との魔力バイパスを断たれ、肉体にも甚大なダメージを負った獣は、数秒遅れるだけで命を落としていただろう。 それを強引に救ってみせたのが、この銀髪の女だった。 使い魔たる彼女の身体を「蒐集」し、術式を強制的に書き換えることで、使い魔契約をやり直したのだ。 つまりこの女こそが、フェイトに代わるアルフの新たなマスターなのである。 「……さ、そうと決まれば、早速いこうか。今度こそプレシアの性根を叩き直してやるために、さ」 かつての主が身に着けていたものに似た、漆黒のマントを翻し。 かつ、かつ、かつ、と靴音を立て、アルフが庭園へと進んでいく。 銀髪の女もまたそれにならい、彼女の後に続いて進んだ。 (主の仇を討つために……か) ふと、想いを馳せる。 女の赤き瞳に浮かぶのは、かつて喪われた主君の姿だ。 茶色い髪を短く切りそろえ、特徴的な髪留めをつけた主の屈託のない笑顔は、今でもありありと思い出すことができる。 今や彼女にとって確かなものは、その頃の記憶とアルフくらいのものだ。 (我ながら滑稽なものだな) 内心で、自嘲気味に苦笑した。 かつて夜天の書の管制人格として生み出され、忌まわしき闇の書へと作り変えられ。 命を奪う災厄として、数多の命を屠った果てに。 最後の夜天の主に出会い、血と涙を塗りたくられた呪いの身体に、新たな名前を与えられて。 そうして忌むべき過去と決別し、穏やかな日常を手に入れたはずなのに、結局自分は最期の時をこんなことに費やしている。 これではまるで、復讐のようだ。 結局デバイスとして生まれた自分には、武器らしく戦って散る末路がお似合いだったということか。 (それでも構わないさ) 胸の中で呟きながら、眼前の時の庭園を仰ぐ。 プレシア・テスタロッサは危険な女だ。 戦いの中、彼女が口にしていた言葉を信じるならば、彼女は間違いなく災いを呼ぶ。 闇の書の闇をも駆逐した英雄達が、何もできず、一方的に叩き潰されたほどの相手だ。 この身でどこまで追いすがれるかは分からない。だが、このまま野放しにしておくわけにはいかない。 きっと生き残ったのが自分ではなく、我が主であったとしたならば。 今自分がしているのと同じように、プレシアの悪意を止めるために戦うだろう。 ならば、自分もまたそれでいい。 残されたこの僅かな命を賭してでも、あの女の目論見を止めてみせる。 多くの犠牲を踏み砕いてきた自分が、最期に大勢の人々を守れるというのなら、きっと主も報われるだろう。 私は生きる。 生きて戦う。 最後の夜天の主――八神はやての命と誇りを、この身に背負って戦ってみせる。 「誤算だったな、プレシア・テスタロッサ……この私が生きている限り、どこにもお前の逃げ場所はないぞ」 この場所へとたどり着くことは困難を極めた。 撃沈したアースラの炉の魔力を丸々使い、アルフと2人がかりで転送魔法を行使しても、ここまで来るのに何週間もかかってしまった。 それでも、どうにかここまでたどり着けた。 彼女の身体と夜天の書は、未だ魔力で繋がっている。 何百年もの歴史の中を、次元空間を漂いながら過ごしてきた彼女らだ。 古代ベルカの記憶に従い、相応の努力と執念を支払えば、たとえそこが未知の座標であろうと、こうして追い着くことができる。 そう。 彼女を生かしてしまったことは、確かにプレシア・テスタロッサの誤算だった。 「これ以上――お前の好きなようにはさせない」 祝福の風・リインフォース――ここに参戦。 【リインフォース@魔法少女リリカルなのはA s PORTABLE-THE BATTLE OF ACES-】 【アルフ@魔法少女リリカルなのはA s PORTABLE-THE BATTLE OF ACES-】 ※いずれもゲームシナリオ開始前、闇の書の闇を撃破した数日後からの参戦です ※リインフォースは、彼女の世界の八神はやてを取り込んだことで、元の力を部分的に取り戻しました。 単独での戦闘能力は、A s本編中で闇の書の闇から切り離された時点のレベルまで回復しています。 【全体の備考】 ※プレシアの現在地の外観は、時の庭園@魔法少女リリカルなのは と同じであることが判明しました ※殺し合いの会場は、夜天の書@魔法少女リリカルなのはA s PORTABLE-THE BATTLE OF ACES- および ジュエルシード@魔法少女リリカルなのは によって展開された結界魔法に覆われています。 【追加ルール】 第三回放送以降、他の参加者を1人殺すたびに、新たな武器が1つずつ支給されます。 支給対象は現実の銃器やデバイスなど、一般的な武器の範疇に収まるものであり、極端に強力なものや変身アイテムは支給されません。 Back 波紋 - a divine messenger of the two. 時系列順で読む Next 破滅へのR/血染め の ヴィヴィオ Back 波紋 - a divine messenger of the two. 投下順で読む Next 破滅へのR/血染め の ヴィヴィオ Back D.C. ~ダ・カーポ~ 予兆 プレシア・テスタロッサ Next Round ZERO ~KING SILENT Back D.C. ~ダ・カーポ~ 予兆 リニス Next Round ZERO ~KING SILENT リインフォース Next 暗躍のR/全て遠き理想郷 アルフ Next 暗躍のR/全て遠き理想郷 オットー Next 第四回放送/あるいは終焉の幕開け(前編)
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リリカル魂 第二話「魔法と管理局」 「さてと、まずは援護ありがとっ。時空管理局民間協力者の高町なのはです。 じゃあキミの名前と所属世界、それと・・・そのロボットは?」 砂漠に降り立ち、二人に質問をするなのは。 「「・・・」」 固まってる。 「ねぇ、ちょっと?」 「あ。えーと、俺の名前はイッキ、天領イッキ。そんでこいつは」 「オレはメタビーだ。それより・・・・時空なんたらって何だ?」 ロボットが思いのほかスラスラと喋ったことに多少驚きつつも、 「ん~、詳しい話はアースラに行ってから教えるよ。 それで、イッキくん達はどこから来たの?」 (いや、だからアースラって何だよ?) 新たな単語に頭を捻るメタビー。その横でイッキは、 「どこからって・・・・っていうか、ここは地球、なのか?」 知っているかぎり、地球の砂漠にあんな怪物が住んでいるなんて聞いたことがない。 「確かに似てるけど、ここは地球の砂漠じゃないんだ。 その様子だと自分達で転移してきたってわけでもなさそうだし・・・・ つまり、イッキくん達は別世界に飛ばされてきちゃったってことになるね」 え?何言ってんのこの子?・・・・イッキとメタビーは呆気にとられる。 「とにかくアースラに戻ってからちゃんとお話しよ? 何があったか分からないけど怪我もしてるみたいだし。 ――エイミィさん聞こえますかー?要救助者+αの保護完了。転送お願いしま~す」 『はいはーい、お疲れ様!すぐに送るからちょっと待ってね』 「ちょ、ま、待てよ!何だよ別世界って?人の話を聞k――」 「おい!その+αってまさかオレのこt――」 最後まで言い切る前に、3人は灼熱の大地から姿を消した。 「転送完了っ、そろそろ戻ってきますね」 「うん、大した異常じゃなくて良かったわ。それにしても『+α』って何なのかしら?」 なのはの言っていた「要救助者+αを保護」の後半部分がちょっと気にかかるリンディ。 救助されたのは年齢的にあまりなのはと変わらない少年のようだが、 それにどんな『おまけ』がくっついているのか。 ほぼ同時刻、アースラの転送ポートに少年と少女とロボットが到着した。 「うわっ、どこだよここ!?ってか俺たちって今まで砂漠にいたのに・・・」 いきなり光に包まれたと思ったら次の瞬間には見知らぬ施設の中にいる。 一体自分はどこにいるんだとキョロキョロするイッキ。 「・・・つまり、ここがさっき言ってた『アースラ』ってやつなのか?」 一方で、メタビーは冷静に状況を見て質問した。 「そうだよ、時空航行戦艦アースラ。ちょっと待ってて、クロノくんを呼んでくるから」 「いや、その必要はない」 メタビーに応えてから歩き出そうとするなのはを制した声の主は、 全体的に黒い服に身を包んだ少年。時空管理局執務官クロノ・ハラオウンだった。 「緊急の用事を頼んですまなかった、なのは。で・・・救助したのがその少年か?」 労いの言葉をかけるクロノ。そして、先ほどから落ち着きのないイッキを一瞥した。 「うん、天領イッキくん。それとそのロボットはメタビーくんっていうんだって」 「・・・そうか、自己紹介が遅れてしまったな。 僕は時空管理局の執務官、クロノ・ハラオウンだ。 天領イッキと、メタビー・・・だったか? 色々と聞くこともあるから ついて来てくれないか」 言いながら既に歩き出しているクロノ。なのはもその後ろについて 「こっちこっち」と手招きしている。 メタビーも二人の後に続いて歩き出したが、ふと振り返り、 (・・・まったく、あいつは・・・!) 「おいイッキ、いつまでキョロキョロしてんだよ? 置いてくぞ」 メタビーの声に、待てよ~と言いながら追いかけていくイッキ。 「ふーむ、つまりその『メダロット』で戦っている最中に事故が起きたわけね?」 管理局による簡単な手当てと身体検査を受けた後、イッキとメタビーはアースラの 食堂に案内された。そこで待っていたのは一人の女性。 この戦艦の艦長、リンディ・ハラオウンだった。 クロノとなのはも立会い、互いに自己紹介を済ませ今は事情聴取の最中である。 最初の内こそ「別世界って何だ~!?」とか何とか騒いでいたが、 3人掛かりの熱心な説明により、ようやく理解できたところだ。 「事故っていうか、とにかく電撃を食らって・・・気付いたら砂漠にいたんです」 頭の包帯を指で触りながら、イッキは在りのままを話した。 「なるほどね、イッキくん本人にもなぜだか分からない、か」 顎に指を添え、難しい顔をするリンディ。 9歳の子どもの話からでは、やはり元いた世界の詳しい情報は得られない。 聞く限りでは、どうやらこちらがまだ認知していない世界の住人のようだ。が、 断片的に聞いた内容が、なのはの住む地球のそれと酷似しており、 しかも彼らの世界でも『地球』と呼んでいるらしいことが不可解だった。 ブラックホールを抜けた先に左右が逆なだけの地球が存在するなどという 信じ難い論説があるが、むしろそれを信じる方が楽なくらいだ。 とにかく彼の世界を探索し帰してあげることには職務的にも個人的にも全力を尽くす。 検査の結果、危険因子は発見されなかったし、保護してしばらく様子を見よう。 それにしても、とイッキの隣に視線を移す。 「『おまけ』がこの子か・・・」 「おまけ?」 ポツリと呟やかれた独り言にメタビーが反応する。 「ああ、気にしないで! こちらのことだから」 「?」 独り言のつもりが、実は聞こえていたことに少々慌てる艦長さん。 「それで・・・俺の方からも聞きたいことがあるんですけど」 イッキが口を開く。 「その、なのは・・・ちゃんはなんであんなことができるんですか?」 「ああ、オレもそれは気になってた」 メタビーも同意見のようだ。 イッキの言う『あんなこと』とは、空を飛んだり砲撃を撃ったりといった魔法のこと。 リンディは「そうねぇ」と言い、 「世の中には、『リンカーコア』っていう魔力の源を持つ人がいるの」 「魔力の源?」 「そう。それを持っている人は大小の差はあるけど様々な魔法を使えるわ」 「はぁ」 信じ難い話だ。おとぎ話かメルヘンの産物だと思っていたのだから仕方ないが。 リンディは続ける。 「でもそれはごく少数の人たちで、現になのはさんの世界でもわずか数人しか 確認されてなくてね」 正確には『管理局が認識している魔力保持者』の数であり、 もしかしたらまだ確認されていない者もいるかのもしれない。 「それで、そのごく稀な人たちのほとんどは高い魔力資質を持っていることが多いの。 なのはさんも、そのうちの一人」 「えっ!?」 「つまり、なのはさんは魔法使いってことになるかしらね」 今更ながら、正直驚いた。確かに自分とそれほど変わらない歳の子が そんな力を持っているなど普通は考えられないだろう。 パッカーンと開いたイッキの口は、しばらく塞がりそうにない。 「ふふっ、まだ小学生の可愛い女の子にそんな力があるなんて思わないわよね」 リンディも初めてなのはのバカ魔力を目の当たりにしたときを思い出した。 あのときはまだ魔道士としての技量は低く、魔力量に頼っている部分も多かったが、 P・T事件、闇の書事件と修羅場をくぐり抜け、よく成長したものだと感心する。 「けど、あのすんげぇビーム見たら納得できるかもな」 と、メタビーは砂漠で見たディバインバスターを思い出す。 巨大ミミズ2頭を一瞬のうちに吹き飛ばしたのは、間違いなく目の前の少女だ。 「えと、あれでも抑え気味だったんだけど・・・」 さらりと怖いことを言うなのは。ミミズたちもあの世でさぞ微妙な心境だろう。 「「・・・・・・(汗」」 「あの・・・イッキくん?メタビーくん?」 イッキとメタビーも何か悪寒を感じたので、その発言はスルーすることにした。 「・・・とにかく、君たちの身柄はしばらくこちらが保護することになる。 なのはの世界ではもう夜も遅いし、今日のところはここまでにしようと思うが」 今まで話の流れを簡潔にまとめ、「よろしいですか?艦長」と尋ねるクロノ。 「そうねぇ。なのはさんもそろそろご家族が心配してるでしょうし」 いくら緊急の用事とはいえ、小学生を夜遅くまで留めておくのは少し問題がある。 ちらりと時計を確認するリンディに対し、 「いえ、仕事によっては遅くなることも家族には話してますし、大丈夫かと・・・」 と弁解するなのは。 「それに、家族のみんなは『無理しない程度に頑張れ』って認めてくれてますから」 「その割には、時折『無理』とか『無茶』を押し通すことがあるようだが?」 「にゃはは・・・(汗」 クロノの指摘に苦笑いを浮かべるなのは。 「確かに、ここのところなのはさんは頑張りすぎかもね」 「そんなぁ~、リンディさんまで」 艦長にまで追い討ちをかけられた。 「本格的に局の仕事に協力してくれるのは嬉しいけど、本業も忘れちゃダメよ」 「・・・は~い」 なのはは渋々といった感じで応える。 「うん、良いお返事ね。あ!そういえばイッキくん達の住むところを決めなくちゃ」 思い出したようにポンッと手を打つリンディ。 「オレたちの住むところ?」 「そう。管理局にもちゃんとした居住スペースはあるけど、たぶんあなた達では 息が詰まって暮らしにくいと思うの」 そういえば、とイッキとメタビーは顔を見合わせる。 別世界に飛ばされたとなれば、まずは住むところを探さなければならない。 かといって施設のようなところで暮らすのは正直なところ不安要素が多いわけで。 どうしようかと思案顔をするイッキに、リンディは一つ提案を出した。 「とりあえず今日は私達の家に泊まるといいわ。後のことはまた考えましょう」 「母さ・・艦長!!いきなりそんな!」 予期せぬ提案に一番驚いたのはクロノだった。 「あら、いいじゃないクロノ。別に女の子が泊まるわけじゃないんだし」 「いや男とか女とかの問題じゃなく!決定が急すぎますよ!」 慌てふためくクロノ。 先ほどのすました顔が印象に強かったイッキは、珍しそうな目で今の彼を見る。 (なんだか偉そうなヤツだなって思ってたけど、意外に面白いかも・・・) 内心そんなことを考えていたりする。人は見かけによらないものだったりするわけで。 「なぁ、なのはちゃん。この二人っていつもこんな感じなの?」 「なのはでいいよ。クロノくんがあんなに慌てるのは久しぶりかなぁ」 「ふーん・・・」 やっぱり珍しいのか、とか思いながら相槌を打つイッキ。 その目の前では未だにハラオウン親子の滑稽なやりとりが続行中だ。 本部に掛け合ってみるべきだとか一時的に保護スペースに預けるだとか まくし立てるクロノを無視し、リンディは「パジャマ用意しなくちゃ」とか言っている。 結局、クロノはリンディにいいように丸め込まれ、承諾させられる破目になった。 「・・・それじゃあ僕と艦長も今日は家に帰るから、なのはもその時でいいか?」 「うん!大丈夫だよ」 「執務官、イッキくんとメタビーくんもでしょ?」 「・・・・保護対象者の天領イッキと+αも一緒に帰宅することになる。以上」 「おい!!なんだその態度の違いは!」 「ってか+αってオレのことかよコラ!!」 あからさまな扱いの違いに、揃って文句を言う二人。それを無視するクロノ。 「まぁまぁ。二人とも落ち着いて」 なのはが仲裁に入り、二人は何とか落ち着きを取り戻す。しかしまだ何か言いたげだ。 「それじゃ、みんな帰りましょうか」 やれやれとリンディが腰を上げ、転送ポートへと向かう一同。 その間、クロノとイッキ達は一言どころか顔も合わそうとしなかった。 そして、彼らの様子を見ながら本日二度目の苦笑いをするなのはであった。 戻る 目次へ 次へ
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【151〜200】 No. タイトル 作者 登場人物 151 白き覚醒 ◆HlLdWe.oBM 天上院明日香、ユーノ・スクライア 152 I Would Be the ***** in This Battle Royale ◆Qpd0JbP8YI L 153 13人の超新星(1)13人の超新星(2)13人の超新星(3)13人の超新星(4)13人の超新星(5)13人の超新星(6)13人の超新星(7) ◆WslPJpzlnU 柊かがみ、新庄・運切、エネル、キース・レッド、アレックス、相川始、金居、ヴィータ、キング、ヴィヴィオ、高町なのは(StS)、天道総司、アーカード、柊つかさ、万丈目準、浅倉威、プレシア・テスタロッサ、リニス、『フェイト』 154 ひとつ分の陽だまりに ふたつはちょっと入れない一人分の陽だまりに 僕らは居る ◆vXe1ViVgVI アンジール・ヒューレー、ヴァッシュ・ザ・スタンピード、スバル・ナカジマ、泉こなた 155 貴重な貴重なサービスシーン・なのはロワ出張編 ◆Vj6e1anjAc ユーノ・スクライア 156 現れるブルーアイス 破滅をもたらす「白夜天の主」風の中にあるもの ◆7pf62HiyTE 八神はやて(StS)、天上院明日香 157 D.C. ~ダ・カーポ~ SURVIVED.C. ~ダ・カーポ~ 戦いは終わるD.C. ~ダ・カーポ~ 予兆 ◆HlLdWe.oBM 浅倉威、柊かがみ、相川始、キング、金居、ヴィータ、キース・レッド、アレックス、L、高町なのは(StS)、天道総司、ヴィヴィオ、エネル、新庄・運切、アーカード、プレシア・テスタロッサ、リニス、『フェイト』 158 Kな魔王/ダークナイトKな魔王/ミライノヒカリ ◆gFOqjEuBs6 キング、ゼスト・グランガイツ、ヒビノ・ミライ 159 進展!? ◆HlLdWe.oBM クアットロ 160 余波 ◆WwbWwZAI1c 相川始 161 E-5涙目ってレベルじゃねーぞ!! ~自重してはいけない・なのロワE-5激戦区~(前編)E-5涙目ってレベルじゃねーぞ!! ~自重してはいけない・なのロワE-5激戦区~(後編) ◆jiPkKgmerY キース・レッド、アレックス、天上院明日香、八神はやて(StS) 162 波紋 - a divine messenger of the two. ◆WwbWwZAI1c ヴァッシュ・ザ・スタンピード、柊かがみ 163 第三回放送 ◆Vj6e1anjAc プレシア・テスタロッサ、リニス、オットー、リインフォース、アルフ 164 破滅へのR/血染め の ヴィヴィオ破滅へのR/なまえをよんで ◆7pf62HiyTE ヴィヴィオ 165 Round ZERO ~KING SILENT ◆HlLdWe.oBM ヴィータ、アーカード、八神はやて(StS)、金居、アレックス、プレシア・テスタロッサ、リニス 166 燃える紅BRAVE PHOENIXわがまま ◆Vj6e1anjAc ヴィータ、アーカード、八神はやて(StS)、金居 167 Lを継ぐ者/SinkLを継ぐ者/あなたがいるから ◆7pf62HiyTE ユーノ・スクライア 168 Aの残光/強襲ソルジャーAの残光/夢と誇りをとりもどせ ◆gFOqjEuBs6 アンジール・ヒューレー、クアットロ、高町なのは(StS)、天道総司、ヒビノ・ミライ 169 突っ走る女 ◆HlLdWe.oBM 相川始、柊かがみ、ヴァッシュ・ザ・スタンピード、スバル・ナカジマ、泉こなた 170 きみのたたかいのうた(前編)きみのたたかいのうた(後編) ◆Vj6e1anjAc ヴァッシュ・ザ・スタンピード、スバル・ナカジマ、相川始、柊かがみ、ヴィヴィオ 171 Round ZERO ~GOD FURIOUS ◆gFOqjEuBs6 八神はやて(StS)、金居、エネル 172 Iの奇妙な冒険/祝福の風Iの奇妙な冒険/すたーだすとくるせいだーす ◆7pf62HiyTE 泉こなた 173 絶望の暗雲 ◆HlLdWe.oBM アンジール・ヒューレー、クアットロ、高町なのは(StS)、天道総司、ヒビノ・ミライ、キング 174 H激戦区/人の想いとはH激戦区/ハートのライダー誕生、Hカイザー/NEXT BATTLE誕生、Hカイザー/神と聖王 ◆gFOqjEuBs6 ヴァッシュ・ザ・スタンピード、スバル・ナカジマ、相川始、柊かがみ、ヴィヴィオ、八神はやて(StS)、金居、エネル 175 Yな戦慄/烈火剣精は見た!Yな戦慄/八神家の娘 ◆7pf62HiyTE ヴァッシュ・ザ・スタンピード、柊かがみ、八神はやて(StS) 176 散る―――(前編)散る―――(中編)散る―――(後編) ◆Vj6e1anjAc スバル・ナカジマ、相川始、ヴィヴィオ、金居、エネル 177 A to J/運命のラウズカード ◆7pf62HiyTE スバル・ナカジマ、ヴィヴィオ 178 Mの姿/鏡Mの姿/マイナスからのリスタート ◆gFOqjEuBs6 アンジール・ヒューレー、キング、高町なのは(StS)、天道総司、柊かがみ 179 こなたとリインと男の娘 ◆LuuKRM2PEg ユーノ・スクライア、泉こなた 180 Ooze Garden(軟泥の庭) ◆WwbWwZAI1c 金居、プレシア・テスタロッサ 181 第四回放送/あるいは終焉の幕開け(前編)第四回放送/あるいは終焉の幕開け(後編) ◆Vj6e1anjAc プレシア・テスタロッサ、リニス、リインフォース、アルフ、オットー、ドゥーエ 182 闇よりの使者 ◆LuuKRM2PEg アンジール・ヒューレー、キング 183 救済N/EGO~eyes glazing over救済N/Destiny s Play ◆7pf62HiyTE 高町なのは(StS)、柊かがみ、天道総司 184 罪罪(状態票) ◆LuuKRM2PEg 天道総司、ヴァッシュ・ザ・スタンピード、ユーノ・スクライア、高町なのは(StS)、八神はやて(StS)、スバル・ナカジマ、ヴィヴィオ、泉こなた、柊かがみ 185 Round ZERO ~MOONLIT BEETLES ◆7pf62HiyTE 金居、キング、アンジール・ヒューレー 186 Pain to Pain(前編)Pain to Pain(後編) ◆HlLdWe.oBM 高町なのは(StS)、八神はやて(StS)、ユーノ・スクライア、天道総司、ヴァッシュ・ザ・スタンピード、柊かがみ、スバル・ナカジマ、ヴィヴィオ、泉こなた、アンジール・ヒューレー、キング、金居 187 解ける謎!!(前編)解ける謎!!(後編) ◆LuuKRM2PEg 天道総司、キング、金居、アンジール・ヒューレー 188 分かたれたインテルメッツォ ◆WwbWwZAI1c 高町なのは(StS)、八神はやて(StS) 189 戻らないD/スバル・ナカジマ戻らないD/柊かがみ ◆gFOqjEuBs6 スバル・ナカジマ、柊かがみ 190 S少年の事件簿/殺人犯、八神はやてS少年の事件簿/フリードの来訪にヴィヴィオの涙 ◆7pf62HiyTE ヴィヴィオ、ユーノ・スクライア 191 抱えしP/makemagic抱えしP/DAYBREAK S BELL ◆7pf62HiyTE 高町なのは(StS)、八神はやて(StS) 192 ……起きないから奇跡って言うんですよ ◆HlLdWe.oBM 八神はやて(StS)、柊かがみ 193 Zに繋がる物語/白銀の堕天使Zに繋がる物語/サティスファクション ◆7pf62HiyTE スバル・ナカジマ、柊かがみ、八神はやて(StS) 194 Masquerade ◆gFOqjEuBs6 天道総司、アンジール・ヒューレー、キング、金居 195 Revolution ◆LuuKRM2PEg 天道総司、ユーノ・スクライア、高町なのは(StS)、スバル・ナカジマ、ヴィヴィオ 196 Uを目指して/世界が終わる前に ◆gFOqjEuBs6 金居、キング 197 Round ZERO~AMBITION SECRET(前編)Round ZERO~AMBITION SECRET(後編) ◆HlLdWe.oBM 高町なのは(StS)、ユーノ・スクライア、ヴィヴィオ、スバル・ナカジマ、天道総司、キング、金居、ウーノ、ドゥーエ、オットー 198 魔法少女リリカルなのはBR Stage01 ファイナルゲーム魔法少女リリカルなのはBR Stage02 心の力を極めし者魔法少女リリカルなのはBR Stage03 紡がれる絆魔法少女リリカルなのはBR Stage04 虹の星剣 ◆19OIuwPQTE 高町なのは(StS)、ユーノ・スクライア、ヴィヴィオ、キング、金居 199 魔法少女、これからも。(前編)魔法少女、これからも。(中編)魔法少女、これからも。(後編) ◆Vj6e1anjAc 高町なのは(StS)、ユーノ・スクライア、ヴィヴィオ、ウーノ、ドゥーエ、セッテ、オットー、ディード 200 Beautiful Amulet(前編)Beautiful Amulet(中編)Beautiful Amulet(後編) ◆gFOqjEuBs6 高町ヴィヴィオ、ジェイル・スカリエッティ、トーレ、ノーヴェ、セイン、ウェンディ